投資銀行TD Cowen(TDカウエン)で、バイオテクノロジー部門のシニアアナリストを務めるヤロン・ウェルバーは、「大統領選挙が終わり、ロバート・F・ケネディ・ジュニアの(保健福祉長官)就任が確実になって以来、このセクターは大幅に急落した」と語る。「さらにそれ以降も、新型コロナワクチンに関する議論があるたびに、相場は下落してきた」
コロナ禍の時期には、最新式のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)からインフルエンザまで、あらゆるウイルスに対応できる、と触れ込まれていた。だが現状を見ると、モデルナとビオンテックの両社は、財務的にはいまだに新型コロナワクチンにほぼ全面的に依存している。
モデルナの2024年の売上32億ドルのうち95%は、新型コロナワクチンの売り上げによるものだ。また、ビオンテックの場合も、総額30億ドルの売上のうち新型コロナワクチンの売り上げが88%を占めていた。
BMO Capital Markets(BMOキャピタル・マーケッツ)で、バイオおよび製薬分野のシニアアナリストを務めるエヴァン・シーガーマンは、「ロバート・F・ケネディ・ジュニアが騒動を起こす前から、新型コロナワクチンは大量に利用される状況ではなくなっていた」と指摘する。
モデルナとビオンテックの株価は、2021年末から2022年にかけて、米国のワクチン接種率が低下したのと呼応するかたちで下落した。2022年10月までに、米国民のうちブースター接種を受けた者の割合はわずか34%だった。少なくとも1回接種を受けた人の割合が80%だったことを考えると大幅な下落だ。
世界保健機関(WHO)によると、世界全体では、2023年12月までに少なくとも1回ブースター接種を受けた人の割合は32%だった。これに対して、当初のワクチン接種を受けた人の割合は67%だった。
その後も、ブースター接種の実施率は低いままだ。CDCのデータによると、2023-24シーズン向けに新型コロナワクチンのブースター接種を受けた人の割合は、2024年8月の時点でわずか23%だった。
この疾病にかかりやすいとされる高齢者の間でも、接種率はそれほど上昇しなかった。65歳以上の米国人では、2024年にブースター接種を受けた人の割合は40%にとどまっている。


