食卓から生まれるロスは、いまや環境問題だけではなく、私たちの心身の健康にも影を落としている。株式会社Nwithが20~50代の男女100名を対象に「フードロスと食生活に関する意識調査」を実施。その結果は意外なものだった。多くの人がフードロス削減に強い意識を持つ一方で、その節約志向がかえって栄養バランスの乱れや食べ過ぎを招いていたのだ。
【調査概要】
調査対象:20~50代以上の男女(n=100)
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2025年9月
調査主体:株式会社Nwith
冷蔵庫に眠る「死蔵品」は意識の高さゆえ
「フードロス」という言葉の認知度は8割超えと非常に高い。しかし半数以上が週に1回以上「食品を捨てている」と答え、意識と行動がかみ合わない現実が明らかになった。


さらに、「冷蔵庫に買ったことを忘れた食品がある」と答えた人は全体の過半数にものぼった。冷蔵庫の奥で食材が眠ったままになっている――そんな“死蔵品”問題は、実は意識が高い人ほど起きやすい傾向にあるようで、「節約対策」としての行為や買いすぎを招き、結果として管理が追いつかなくなる構図が見えてきた。
「安いから買う」が家計を圧迫
また、フードロスが家計に与える影響についても調査されている。「フードロスによって年間どのくらいの金額を無駄にしていると感じるか」という質問に対し、「1万円未満」と答えた人は半数、「わからない」が約3割、「1万円~3万円未満」「3万円~5万円未満」「10万円以上」「5万円~10万円未満」と高額になる場合も後に続いた。つまり年間1万円以上の損失を感じている人が72.5%に達していることになる。一方で、「わからない」と答える人も約3割に上った。フードロスによる損失を実感できていない人も一定数存在することは気になる。

消費者の買い物行動がフードロスによる損失に大きく影響していることも示唆された。「献立を決めずにとりあえず買う」人は約半数、「特売品や見切り品を安いからと買ったものの結局捨てたことがある」人もほぼ半数近く存在した。節約意識が強いほど、逆に損失を広げるという皮肉な現実が見えてくる。節約という行動が「得をした気分」を与えるため、それ自体の無駄に気づきにくいという心理的構造も関係しているのだろう。


節約のための行動が、かえってフードロスと経済的損失を招くとして、調査元はこの現象に「フードロス貧乏の悪循環」と名付けている。ロス・貧乏・悪循環。ネガティブ要素が満載のパワーワードだが、問題は環境や経済だけにとどまらない。



