宇宙

2025.10.07 09:00

NASAシャットダウンで遅延する計画、それでも継続される必須プログラム

(c)NASA

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米東部時間10月1日の午前0時、連邦議会がつなぎ予算案を可決できなかったことにより、米国政府の非必須機関が閉鎖された。

米政府機関が閉鎖されるのは約7年ぶり。トランプ政権においては通算3度目となる。これによってNASAに在籍する1万8218人の職員のうち、83%に当たる1万5094人が自宅待機(一時帰休)となり、実質的にNASAの機能が停止した。現時点では多くの宇宙プログラムが休止状態とされ、NASAのホームページやSNSなどの更新も途絶えている。この状態が長く続けば多くのNASAプログラムに支障が出る可能性がある。
※記事中の日時は、すべて米国時間。

なぜ米政府は閉鎖されたのか?

米国の予算決定プロセスにおいては、まずは大統領が予算要求案を提示する。その12種の個別歳出法案を議会が審議して可決し、大統領がサインすることで成立する。米国の会計年度は10月1日にスタートするため、その工程を9月30日までに完了する必要があるが、今年は10月6日時点においても成立した歳出法案はゼロのままだ。

9月30日までに歳出法案が成立しない場合、前年度と同水準の短期つなぎ予算(CR:継続決議)を暫定的に施行して政府機能を継続するが、今回はその合意が議会で得られず、政府の資金が途絶えた結果、米政府の非必須機関が閉鎖された。合意に至らなかったのは民主党が盛り込むよう要求した条項を共和党が拒否したためだ。その条項には医療保険制度改革法(オバマケア)の保険料補助の延長、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)の予算削減の撤回などが含まれる。この事態に陥ったことに対し、共和党と民主党の議員は責任をお互いになすり付け合い、交渉は現在も膠着したままの状態にある。

議会予算局(CBO)の推計によると、今回の閉鎖で一時帰休となった連邦職員は75万人にのぼる。1980年以降、米政府機関の閉鎖は主に15回発生しており、もっとも長く続いたのは第一期トランプ政権時(2018年12月)の約35日間。トランプ氏は今回の閉鎖を積極的に利用し、連邦職員の大量解雇に踏み切る可能性を示唆していることなどから、より長期化する可能性がある。

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編集=安井克至

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