民間運用パッドからの打ち上げは継続
人工衛星や探査機の軌道維持などは継続されているが、その他の観測データ処理などは行われていない。ただし、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などによる観測は、自動モードによって継続されており、NASAの閉鎖中も新しいデータが収集されている。火星地表にある探査ローバー「キュリオシティ」と「パーサヴィアランス」も支援スタッフは限定されているものの、AIを活用した自動運用で最低限のミッションが継続されている。
NASAプロジェクトの新規打ち上げはすべて停止されるが、10月中に予定される打ち上げは前述した火星探査機「エスカペード」しかない。また、NASA直轄のケネディ宇宙センター(KSC)や、米宇宙軍が管轄するケープカナベラル宇宙軍基地(フロリダ州)、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地(カリフォルニア州)などは政府機関だが、スペースXやブルーオリジンが長期レンタルしているパッド(発射台施設)はNASAの閉鎖期間中も両社によって運用される。
そのためスペースXのスターリンク衛星(10月3・7・12・15日など)や、ブルーオリジンの通信衛星プロジェクトカイパー(10月9日)などの打ち上げは10月中も継続されている。アストロボティックの民間月面輸送機「グリフィン」もペイロードの準備さえ整えば、スペースXのファルコンヘビーでケネディ宇宙センターから予定どおり2025年12月中に打ち上げられるだろう。
多くの宇宙事業が民間に委託されている状況を考えれば、NASAの一時閉鎖による影響は限定的に思えるかもしれない。ただし、NASA職員の83%の一時帰休は、今後あらゆるプロジェクトに影響が出ると思われる。
また、トランプが5月に提示したNASAの予算削減案は連邦議会によって棄却されたが、米政権はNASA職員の約20%にあたる3860人のレイオフを7月までに断行した。過去数十年間にわたってNASAの活動を支えてきたベテラン職員の喪失はNASAの体制に弱体化をもたらし、今後の米宇宙事業のあらゆる局面において表面化するに違いない。


