宇宙

2025.10.07 09:00

NASAシャットダウンで遅延する計画、それでも継続される必須プログラム

(c)NASA

例外的に継続されるNASAプログラム

こうした事態に備えてNASAは9月29日、「NASA歳出継続計画」を発表した。このプログラムによると、クルーの生命とNASA財産を保護する目的から、停止する機関業務に例外を設けるとある。その例外とは「ISS(国際宇宙ステーション)の運用」「衛星運用」「アルテミス計画の開発・運用」の3つ。つまり、これらの業務はNASAの閉鎖中も通常どおり継続される。

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ISSに滞在中の第73次長期滞在ミッションの7名。手前中央が油井亀美也氏。8月15日撮影 (c)NASA
ISSに滞在中の第73次長期滞在ミッションの7名。手前中央が油井亀美也氏。8月15日撮影 (c)NASA

ISSには現在7名のクルーが滞在しており、そこには油井亀美也氏も含まれる。NASAによる人員交代や補給ミッションは年内には計画されておらず、11月19日打ち上げ予定の無人補給機「プログレスMS-33」と、11月27日の有人宇宙船「ソユーズMS-28」(11月27日)は、どちらもロスコスモス(ロシアの宇宙機関)によるミッションだ。

ブルーとゴールドの2機で構成される「エスカペード」。火星周回軌道上から火星の磁場の構造と、それがどのように太陽風に作用するかを研究する。機体はロケットラボが製造 (c)NASA
ブルーとゴールドの2機で構成される「エスカペード」。火星周回軌道上から火星の磁場の構造と、それがどのように太陽風に作用するかを研究する。機体はロケットラボが製造 (c)NASA

もっとも影響を受けるのは、10月下旬から11月中の打ち上げが予定されているNASAの火星探査機「エスカペード」だろう。本来この探査機は2024年10月に打ち上げられる予定だったが、ブルーオリジンの新型機ロケット「ニューグレン」の技術問題によって延期されていた。地球と火星の位置関係から2025年1月までに打ち上げる必要があったが、そのウィンドウはすでに閉じている。そのためエスカペードは打ち上げ後に地球と太陽間のラグランジュ点L2に入り、そこで約1年間待機する。2026年11~12月には火星に向かう遷移軌道に入り、火星には2027年9月ごろに到着する予定だ。

オリオン宇宙船を搭載するアダプターが統合され、ほぼ完成状態となったSLSロケット。ケネディ宇宙センターのVAB(ロケット組立棟、フロリダ州)にて。写真は9月30日に公表されたもの (c)NASA
オリオン宇宙船を搭載するアダプターが統合され、ほぼ完成状態となったSLSロケット。ケネディ宇宙センターのVAB(ロケット組立棟、フロリダ州)にて。写真は9月30日に公表されたもの (c)NASA

アルテミス計画は、第一次トランプ政権下の2019年にはじめて発表された。その当初、クルー4名が月を周回するアルテミス2は2022年に予定されていたが、その後スケジュールは遅延し続け、現時点では2026年2月5日以降の打ち上げが予定されている。これ以上遅延すれば、有人月面探査において中国に先を越される可能性が高まるが、米国はいま、その事態を全力で回避しようとしている。

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NASAがアルテミス計画の一部作業を例外としたのは、JAXAをはじめとした国際パートナーとの協定を履行するためだ。同計画には多くの事業体が関係し、非常に複雑な工程で進められているが、NASAはそのクリティカルパス(プロジェクト全体の作業工程)を維持する責務を負う。今回、例外とされたその作業には、SLSロケットの統合や搭乗員トレーニングなどが含まれる。

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編集=安井克至

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