利用シーンに合わせた「いいとこどり」
最後は、LGエレクトロニクスの「LG Smart Monitor」シリーズである。通常、PC用モニターはパソコンにつないで使うが、これは独自OSが搭載されており、ディスプレイ単体でYouTubeやNetflixなどの動画配信サービスを視聴できる新しいタイプの商品だ。仕事ではPCモニターとして使用し、オフの時間にはリモコン操作でテレビさながらにネット動画を楽しめるという「仕事と余暇のシーンを一台で兼ねる」という提案である。画面サイズも大きく、スマホ画面をワイヤレスで映せる機能も備える。
PCモニターとチューナーレステレビのいいとこどりの商品だが、まさに既存カテゴリーに収まらない価値を打ち出したことで注目を集めた。近年のライフスタイルの変化に合わせた「リモートワークから映画鑑賞まで」という新しい利用シーンを軸に市場開拓を狙い、シリーズ累計2.5億円を超えるヒットを記録している。
これらの事例に共通するのは、従来の当たり前にとらわれず「利用シーン」から発想した点である。ふとん乾燥機を毎日の快眠ツールに、炎を眺める行為を室内インテリアに、モニターを仕事と娯楽のハブに。いずれも既存ジャンルの境界を超えて潜在的なニーズを掘り起こしたといえる。ライフスタイルが多様化する今、商品開発においてもこうした発想がますます重要になるだろう。それが結果として、思わぬ場所に新たな販路を生み出し、意外なコラボレーションが新市場の創出を促し、ヒット商品を生む原動力になるのではないだろうか。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。


