平沼海統は2018年7月、「ALL-WINNERな世界へ。」を掲げ、インフォボックスを創業した。同社は、BtoB向けの営業データプラットフォーム「infobox」を展開。250万件の企業データを保有し、各社の組織図・部署・担当者情報に加え、役員・部門長など意思決定者を含めたSNSアカウント、導入しているITサービスなどの情報を提供。見込み顧客のWeb行動ログと自社サイトへの訪問履歴データを解析し、優先してアプローチすべき営業先を可視化する機能も備える。24年2月にリリースして以降、100社超の企業が導入している。
同社が総額19億円の資金を調達した25年2月のシリーズAに、プロサッカー選手の本田圭佑が創業したベンチャーキャピタル(VC)のX&KSKはリード投資を行った。同VCマネージング・パートナーの山本航平はなぜ投資したのか。
山本:きっかけは、私の前職の先輩である盛島(正人・チューリングCFO)さんからの紹介。彼はモルガン・スタンレー米国本社に勤めていたときに、インフォボックスと同領域で事業をしている米ズームインフォ・テクノロジーズのIPO(2020年6月4日、上場日の時価総額は終値ベースで約130億ドル)にかかわった人物です。「日本版のズームインフォをつくろうとしている」と聞いていたのですが、実際に平沼さんとお会いして、これは本物だと思いました。明確なビジョン、前職ではトップ営業マンだったというバックグラウンドも魅力ですが、何よりも自分たちの冒険に仲間を引き入れる能力が桁外れに秀でている。例えば、今回のシリーズAには、ズームインフォ創業者のヘンリー・シュックも参画しています。平沼さんは英語を勉強中の身で、言語の壁を越えて相手を口説き落とし、チャンスをものにしているのです。
平沼:X&KSKは「日本初のデカコーン創出」をミッションに掲げているVCで、私自身も明確にそこを目指しています。そのためには、普通のスタートアップの時間軸で戦っていては難しい。非連続な成長をしていくための戦略を一緒に考えたり、人・モノ・金という必要なパーツすべてに関して手厚くサポートいただけたりすることに感謝しています。
山本:私は前職時代を含めて米国での活動期間が長いのですが、向こうの起業家と対峙していると、彼らには「ハッスル力」があるんですよね。業務量やコミュニケーション力、どれだけガッツがあるのかを含めて、人としての強さが桁違いなのです。日本は国民性もあってマイルドな起業家が多いのですが、平沼さんは物腰柔らかな一方で、内に秘めたハッスル力はJリーグではなくプレミアリーグ級です。



