3. 「自由」になるために仕事を辞める
デジタル中心の現代では、自由とは従来型の9〜5時の勤め生活を捨て、起業や旅行、あるいは「快適な暮らし」として知られるようになった生活を追求することとして描かれることが多い。
フィードには、美しく整えられたホームオフィスや柔軟なスケジュールを紹介するインフルエンサーがあふれ、自営業のスリルを強調している。従来型の仕事は今や制限の多いものとみなされている。
SNSは「ハッスル文化への反発」でこれを増幅させている。標準的な仕事は窮屈で魂を吸い取られるようなものだとされている。情熱的なプロジェクトを追求するために仕事を辞めた人たちの話は憧れのマイルストーンとして紹介される。一方、安定した雇用は制限的、あるいは野心的でないものとして微妙に描かれている。このようなライフスタイルを見習うべきだというプレッシャーは、従来の仕事にとどまることは失敗だとか、人生で何か間違ったことをしているような印象を与えかねない。
有意義な仕事は、積極的なアプローチによって生み出される
だが専門誌『Trends in Psychology(トレンズ・イン・サイコロジー)』に掲載された研究では、有意義な事柄をするために必ずしも仕事を辞める必要はないことが示されている。労働者は「ジョブ・クラフティング」を通じて充実感を積極的に作り出せる。つまり、自分の心理的ニーズを満たすために役割やタスク、考え方を修正するのだ。
研究ではブラジル人のプロフェッショナル340人を調査し、自律性と仕事をとらえ直す機会の認知が有意義な仕事に直結する道であることがわかった。また、自分の仕事を認識し、考え方を変える認知的な「クラフティグ」が最も大きな影響を及ぼしていた。
このことは、有意義な仕事は、従来の仕事を離れることによってではなく、積極的なアプローチによって生み出されることが多い点を示している。自分の役割や考え方を形成することで、労働者はすでにある仕組みの中でエンゲージメントや満足感を得られる。
重要なのは、有意義な経験を創造し、自分の仕事と人生をコントロールすること
自由と充実感のためにすべてを辞める必要はない。もはや自分のためにならない仕事を辞めることは有効な選択となり得るが、その決断には心して臨むことが重要だ。経済的な安定と潜在的なリスクをはっきりと理解することは変化を持続可能なものにするために不可欠だ。
重要なのは、有意義な経験を創造し、自分の仕事と人生をコントロールすることであり、社会的評価を得るための極端な行為や、単に他人の選択を真似ることではない。状況は人によって異なる。ある人にとってはうまくいくことでも、あなたにとっては実行不可能だったり、持続可能でなかったりする。慎重に計画を立てなければ、仕事を辞めることは安心感を与えるどころか、ストレスや不安を増大させかねない。
あなたのウェルビーイングと充実感を支えるもの
結局のところ、最も重要なのはSNSなどで「普通」に見えることに従うのではなく、それぞれの経験を尊重することだ。純粋に自分に合った選択をすることが長い目で見て有益だ。そして、それが他人にとって理想的である必要はないことも知っておいてほしい。あなたのウェルビーイングと充実感を支えるものである限り、それはあなたにとって正しいものなのだ。


