現在の職務を積み重ねていると、キャリアアップを考えたり、「隣の芝生が青く見える」と感じたりする人は少なくない。しかし、企業側からすれば、せっかく育てた人材を失うのは極力避けたい事態だ。エン・ジャパンが人材紹介サービスの転職コンサルタントを対象に「転職時の引き止め」についてアンケートを行い、その結果を公開している。
それによると、引き止めの手段として最も多いものは、「年収アップの提示」が62%で実施している。次いで「後任者が見つかるまでの期間延長の要請」が55%、「役職や待遇改善の提示」が51%と続く。

引き止められたミドル世代のうち、実際に転職を思いとどまる人がどの程度いるかという問いに対し、62%の転職コンサルタントが「1割未満」だと回答した。

では、引き止められる可能性が高いのはどのような状況かというと、「後任が不在の場合」が65%でトップ。「進捗中のプロジェクトに関わっている場合」が45%、「上司、同僚に慕われるなど人物的評価が高い場合」が38%と続いている。

一方で、不当な引き止め(ハラスメント)に遭遇したことがあるかの問いに、20%が「ある」と回答。「上司や上位役職者による恫喝」が47%、「退職届の受理拒否や必要書類の発行遅延」が44%、「退職時期を度々延期させられる」が44%となっている。


一度転職を決意したモチベーションを覆すのは、なかなか難しい現実がある。話し合いで円満解決したケースもある一方で、引き止めに応じた結果、キャリアが停滞したケースも報告されている。企業側としては、ハラスメントを避け、円満な退職と解決を目指してほしいものだ。
出典:エン・ジャパン「ミドル世代の転職時の引きとめに関する調査レポート」より



