映画

2025.10.12 17:00

2025年10月にNetflixに追加された注目映画10作品

A House of Dynamite(Eros Hoagland/NETFLIX)

7.『ハクソー・リッジ』(Hacksaw Ridge, 2016)日本配信未定

宗教的信念から武器の携行を拒み、第二次世界大戦中に衛生兵として従軍したデズモンド・T・ドスの物語は、長らく映画化されずにいた。スタジオ側の関心はあったものの、遺族は創作上の誠実さとドスの信仰への焦点を条件とした。そこで登場したのがメル・ギブソンであり、映画界への復帰はある種の贖罪物語として受け止められ、本作の主題である信念と変容とも響き合った。

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実話に基づく本作で、アンドリュー・ガーフィールドが良心的兵役拒否者のドスを演じる。彼は同僚兵士から執拗な嫌がらせを受けながらも、武器を持たずに任務を遂行。沖縄戦の激戦下で内に秘めた信仰と勇気を発揮し、多くの兵士を救助して名誉勲章を受けるに至る。ドスの道徳的葛藤と戦争の苛烈な現実の双方を克明に描き出す『ハクソー・リッジ』(Hacksaw Ridge)は、道徳的な背骨、容赦ないリアリズム、そしてドスの正当に獲得した遺産への敬意によって際立つ戦争ドラマである。

8.『第10客室の女』(The Woman in Cabin 10, 2025)

これまでサイモン・ストーン監督は、オーストラリアのキャスト(彼自身もオーストラリア出身)が多く、簡素で内省的な作風の作品を得意としてきた。しかし、Netflixの最新心理スリラー『第10客室の女(The Woman in Cabin 10)』は、予告編の印象では、謎めいて緊張感に満ち、意外性に富んだ作りになっている。

ルース・ウェアのベストセラー小説を原作に、キーラ・ナイトレイがロウ・ブラックロックを演じる。彼女は豪華ヨットに乗船中、乗客が海へ突き落とされるように見える瞬間を目撃する。だが、全乗客は点呼で確認され、誰も彼女を信じない。ロウは真相を暴くため、欺瞞と危険の迷宮を進まねばならない。

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ガイ・ピアース、ハンナ・ワディンガムら強力な脇役も得て、フーダニットの王道に新風を吹き込む。知覚こそすべて──豪華客船を舞台にした手に汗握るミステリーだ。

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翻訳=酒匂寛

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