5.『魔人ドラキュラ』(Dracula, 1931)日本配信未定
ドラキュラの物語は、これまで何度も新しい形で語られてきたため、いまやおなじみと言えるかもしれない。しかし、オリジナルの『魔人ドラキュラ(Dracula)』を凌ぐものはない。そこには、ベラ・ルゴシが吸血鬼ドラキュラを演じたホラー史に残る名演が宿っている。
物語は、英国の弁護士レンフィールド(ドワイト・フライ)が、ドラキュラ伯爵との不動産取引をまとめるためトランシルヴァニアへ赴くところから始まる。ドラキュラの不気味な城に入ったレンフィールドは、伯爵の催眠の支配下に落ち、忠実な僕となる。ロンドンへ船で渡ったドラキュラは、スワード博士(ハーバート・バンストン)の娘ミナ(ヘレン・チャンドラー)に魅了され、ミナに吸血を重ねる。ミナの婚約者ジョン・ハーカー(デヴィッド・マナーズ)は案じ、ヴァン・ヘルシング教授(エドワード・ヴァン・スローン)がドラキュラの正体を吸血鬼だと見抜く。
マント、訛り、威圧感──ルゴシの象徴的な演技は世代を超えて響き続けてきた。トッド・ブラウニング監督が、舞台劇とブラム・ストーカーの小説を基に映画化した本作は、いまなお画面を幽霊のように漂う、引き締まった不気味な古典である。
6.『The Twits アッホ夫婦』(The Twits, 2025)
フィル・ジョンストンは、実はアニメーション界で最も成功した映画人の一人である。『シュガー・ラッシュ(Wreck‑It Ralph)』や『ズートピア(Zootopia)』の脚本を手がけ(両作では声優としても参加)、続編『シュガー・ラッシュ:オンライン(Ralph Breaks the Internet)』では監督も務めた。そんな彼が監督業を継続し、Netflixの最新長編アニメ『The Twits アッホ夫婦』に臨む。
ロアルド・ダールの児童小説を原作とする物語は、意地悪なミスター&ミセス・ツイットが、悪質ないたずらと残酷さでツイットランディアを支配するところから始まる──しかし、2人の孤児(ビーシャとバブジー)と魔法の動物一家マグル・ウンパスが力を合わせて反撃に出る。
Netflixにとってダール原作の長編映画はこれが初の試み(これまではウェス・アンダーソンの短編連作を配信)で、ジョニー・ヴェガス、マーゴ・マーティンデイル、ナタリー・ポートマン、エミリア・クラークらのオールスター声優陣が参加。さらにはデヴィッド・バーンによる書き下ろし楽曲(エンドロールではヘイリー・ウィリアムズとのコラボ)もある。ダールらしいダークさとハートが共存する、荒唐無稽で痛快な一作だ。


