30U30

2025.10.06 14:15

M-1王者・令和ロマン、自腹4桁万円で「日本初のドローン漫才」を実現。 異能タッグの舞台裏

撮影=加古伸弥

撮影=加古伸弥

2025年9月2日、国立競技場の夜空に前代未聞の“漫才”が描かれた。M-1グランプリ2連覇王者・令和ロマンが、7年ぶりとなる単独ライブの告知に選んだのは、500機のドローンが舞う空中舞台。そのショーの直後、くるまがMCを務めるポッドキャスト番組『3003-サンゼロゼロサン-』の特別収録が行われた。

ゲストは、相方の松井ケムリと、ドローン演出を手がけたレッドクリフCEOの佐々木孔明。同じ2024年に「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞したくるま・佐々木の二人が、興奮冷めやらぬ中、綱渡りだったプロジェクトの裏側を語り始めた。


夜空に浮かぶ巨大な“くるま”。前代未聞のドローン漫才 

ドローンで夜空に浮かび上がるくるまの顔
ドローンで夜空に浮かび上がるくるまの顔

国立競技場の夜空に突如として現れた無数の光の点は、やがて像を結び、巨大なくるまの顔となった。ドローンのくるまが口をパカパカと動かすと、夜空に「うす」の二文字が浮かび上がる。

かくして始まったのは、夜空のドローンが描くボケに、夜空の前に立つ生身のケムリがツッコむという、前代未聞のドローン漫才だ。「あれ」「ケムリさん」と短い言葉でじらした挙句、夜空に浮かんだのは「ちぢんだ?」の文字。すかさず地上のケムリが夜空に向かって「縮んだ?お前だよ。お前がでかくなったんだよ!」と叫ぶ。

M-1優勝など思い出を振り返る場面
M-1優勝など思い出を振り返る場面
くるまが登場し、どういうこと?と聞くケムリ
くるまが登場し、どういうこと?と聞くケムリ

 二人の歩みを象徴する「M-1グランプリ」のロゴやセンターマイクのモチーフを挟みながら、ショーはクライマックスへ。夜空に「重大発表」の文字が描かれ、単独ライブの開催日「2026/5/16」を告知。最後はチケット購入サイトに飛ぶための巨大なQRコードが出現。令和ロマンらしい遊び心で、約15分間のショーは幕を閉じた。

レッドクリフ
演出を手がけたドローンショー国内シェアNo.1 のレッドクリフ

始まりはポッドキャスト。「お笑いと一緒に、いかがですか?」

5月18日と5月25日に放送されたポッドキャスト番組「3003 -サンぜろぜろサン-」
ポッドキャスト番組「3003 -サンゼロゼロサン-」の5月18日と5月25日の回でゲストとして出演したレッドクリフ佐々木

ことの始まりは、くるまがMCを務めるポッドキャスト番組『3003-サンゼロゼロサン-』だった。Forbes JAPAN「30 UNDER 30」の受賞者をゲストに招く同番組に、レッドクリフの佐々木孔明が出演したことがすべてのはじまりだ。

佐々木が率いるレッドクリフは、国内最大の6500機ものドローンを保有する、ドローンエンターテインメント企業。大阪・関西万博では協会企画催事のひとつとして、1000機の大規模ドローンショーを連夜展開。開幕初日には、2500機のドローンショーを実施し、「ドローンによる最大の木の空中ディスプレイ」部門において、ギネス世界記録™を達成している。

くるま「番組内で、佐々木さんが『花火大会やお芝居と組み合わせたショーをやっている』という話になって。でも『お笑いと一緒に、というのはまだやったことがない』と。そこで『いかがですか?』というお話をしたら『いいですね』と」

その「いいですね」の一言から、話は驚異的なスピードで進む。当時、令和ロマンは、コンビ史上最大規模となる約2万人を動員予定のKアリーナ横浜での単独ライブに向け、前例のないプロモーション手法を模索していた。そこにドローンがうまくはまった形だ。

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文=堤 美佳子 編集=川上みなみ 写真=加古伸弥

連載

3003 ‐サンゼロゼロサン‐

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