2025年9月2日、国立競技場の夜空に前代未聞の“漫才”が描かれた。M-1グランプリ2連覇王者・令和ロマンが、7年ぶりとなる単独ライブの告知に選んだのは、500機のドローンが舞う空中舞台。そのショーの直後、くるまがMCを務めるポッドキャスト番組『3003-サンゼロゼロサン-』の特別収録が行われた。
ゲストは、相方の松井ケムリと、ドローン演出を手がけたレッドクリフCEOの佐々木孔明。同じ2024年に「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞したくるま・佐々木の二人が、興奮冷めやらぬ中、綱渡りだったプロジェクトの裏側を語り始めた。
夜空に浮かぶ巨大な“くるま”。前代未聞のドローン漫才
国立競技場の夜空に突如として現れた無数の光の点は、やがて像を結び、巨大なくるまの顔となった。ドローンのくるまが口をパカパカと動かすと、夜空に「うす」の二文字が浮かび上がる。
かくして始まったのは、夜空のドローンが描くボケに、夜空の前に立つ生身のケムリがツッコむという、前代未聞のドローン漫才だ。「あれ」「ケムリさん」と短い言葉でじらした挙句、夜空に浮かんだのは「ちぢんだ?」の文字。すかさず地上のケムリが夜空に向かって「縮んだ?お前だよ。お前がでかくなったんだよ!」と叫ぶ。

二人の歩みを象徴する「M-1グランプリ」のロゴやセンターマイクのモチーフを挟みながら、ショーはクライマックスへ。夜空に「重大発表」の文字が描かれ、単独ライブの開催日「2026/5/16」を告知。最後はチケット購入サイトに飛ぶための巨大なQRコードが出現。令和ロマンらしい遊び心で、約15分間のショーは幕を閉じた。
始まりはポッドキャスト。「お笑いと一緒に、いかがですか?」
ことの始まりは、くるまがMCを務めるポッドキャスト番組『3003-サンゼロゼロサン-』だった。Forbes JAPAN「30 UNDER 30」の受賞者をゲストに招く同番組に、レッドクリフの佐々木孔明が出演したことがすべてのはじまりだ。
佐々木が率いるレッドクリフは、国内最大の6500機ものドローンを保有する、ドローンエンターテインメント企業。大阪・関西万博では協会企画催事のひとつとして、1000機の大規模ドローンショーを連夜展開。開幕初日には、2500機のドローンショーを実施し、「ドローンによる最大の木の空中ディスプレイ」部門において、ギネス世界記録™を達成している。
くるま「番組内で、佐々木さんが『花火大会やお芝居と組み合わせたショーをやっている』という話になって。でも『お笑いと一緒に、というのはまだやったことがない』と。そこで『いかがですか?』というお話をしたら『いいですね』と」

その「いいですね」の一言から、話は驚異的なスピードで進む。当時、令和ロマンは、コンビ史上最大規模となる約2万人を動員予定のKアリーナ横浜での単独ライブに向け、前例のないプロモーション手法を模索していた。そこにドローンがうまくはまった形だ。



