気候変動を企業は新たなビジネスチャンスにできるか
こうした気候変動による気象の変化は、ビジネスへの影響も顕在化している。気候テック事業部長の鈴木孝宗は、「穀物の主要産地となる国において熱波やかんばつなどにより収穫量が影響を受けている」と話す。また、水不足の影響は世界各地の河川やダムなどの水位低下を引き起こし、物流や農業などへの影響も懸念されているという。
「気候変動により気象が極端化してきた結果、一定期間の低温を経験しないと桜がうまく開花できないように、農作物や果樹の生育サイクルにズレが生じ、収穫量に影響を及ぼすケースも報告されています。農産物に限らず、酷暑は生体への影響から酪農業や養殖業の生産性低下を招き、季節の急激な変化によって小売業・マーチャンダイジングに変革を迫るなど、各産業に影響を及ぼし始めている状況です」(鈴木)
ウェザーニューズでは、こうしたリスクを可視化する「気候リスク分析サービス」を企業向けに提供している。例えば2050年の洪水ハザードマップ上に自社の工場や取引先の拠点をプロットすると、将来の浸水リスクが一目でわかるというものだ。
さらに、浸水深に応じた年間の想定被害額を自動で算定し、対策を講じた場合のコストと効果をシミュレーションするなど、洪水だけでなく、高潮や水不足、熱波など、さまざまなリスクをグローバルで分析できるという。
「気候リスク分析サービス」を提供する背景にある企業の長期的視点の重要性、そして気候変動時代を生き抜く個人と企業の新たな価値創造とは。続きはNEXT GX STREAM 日本発「GX経済圏」の衝撃でぜひご覧ください。
むらた・ひろゆき◎ウェザーニューズ クリエイティブディレクター/執行役員。YouTube登録者数144万人(2025年8月時点)の気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」の総合演出プロデューサー。
きら・まゆこ◎ウェザーニューズ 気象予報士。気候テック事業部を経て、“未来を考える”気候変動番組『100年天気予報』を立ち上げ。気候変動が暮らしにどのように影響するのかを発信中。
すずき・たかむね◎ウェザーニューズ 執行役員 気候テック事業担当。2022年に気候テック事業部を発足。SaaS型サービスを活用した企業向けの気候変動対策の支援に取り組む。



