豪雨が増えるのに水不足?深刻化する異常気象
では、ほかにどんな変化が起きていくのか。例えば雨の降り方も劇的に変化すると、吉良は続ける。
「22年に埼玉県鳩山町で観測された374.5mmという記録的な豪雨は、当時の気候では100年に一度以上に珍しい現象でした。しかし、未来のシミュレーションでは、こうした豪雨が70年に一度、50年に一度と、より頻繁に起こる可能性が示されています」(同)
豪雨だけでなく、台風もまた、その脅威が強まり続けていくという。
「台風は将来的に『個数は減るが強度は強くなる』と予測されており、19年に房総半島を襲った台風15号のような広域停電を引き起こすクラスの台風リスクが高まっています」(同)
事実、こうした大雨の発生リスクについて、実感している読者も少なくないだろう。しかし、これだけ雨が降っているように思えても、実は怖いのが、水不足の深刻化だと吉良は続ける。
「気温が1℃上昇するごとに大気中の水蒸気量は約7%増加するため、一度雨が大量に降ると、川や湖にたまらずに流れていってしまう現象が起きているのです。大雨による被害がニュースなどでも多数報道されているため、雨が降っていないという実感は少ないかもしれません。しかし、川や湖にたまるような雨の回数は減っていて、雨が降らないために乾燥による山火事のリスクが高まっている状況です。島国であり、水資源が豊富だといわれている日本においてもかんばつが社会問題になっていく可能性は否定できません」(同)
こうした予測の進行は、想像以上に早い。村田が特に衝撃を受けたのは、過去のシミュレーションがすでに現実に追い越されている事実だ。
「11年には『50年後、東京の連続真夏日日数は50日になる』と予測しましたが、23年にはもう64日を記録し、予測を大幅に超えてしまった。もっと未来のことだと思っていたことがすでに起きているのが現実なのです」(村田)


