「外れ値」とも言ってもいいほど、並外れた人たちがいる。彼ら彼女らの「成功」の要因が偶然や個人の資質、努力だけにあるわけではない。
スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツといったIT長者たちの共通点とはーー。ジャーナリスト兼作家のマルコム・グラッドウェル氏の著書『Outliers 思考と思考がつながる』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
IT成功者の共通点
シリコンバレーの出身者と話をすれば、パーソナルコンピューター革命の歴史でもっとも重要な日付は1975年の1月だという言葉を聞くことができるだろう。それはまさに、雑誌『ポピュラーエレクトロニクス』で、アルテア8800という驚異のマシンが特集された年と月だ。
アルテアの値段は397ドル。自宅で組み立てることができるという画期的なマシンだ。特集記事には、「プロジェクト・ブレークスルー! 市販モデルに匹敵する世界初のミニコンピューター・キット」という見出しが躍っていた。
当時、『ポピュラーエレクトロニクス』誌は、生まれたばかりのソフトウェアとコンピューターの世界でバイブルのような存在だった。雑誌の読者にとって、この見出しはまさに神の啓示にも等しい。
それまでコンピューターといえば、ミシガン大学コンピューターセンターに鎮座しているような、巨大で高価なメインフレームコンピューターだった。すべてのハッカーやエレクトロニクスの天才たちは、安価で小型のコンピューターが生まれる日を何年も前から夢見ていた。普通の人でも自分で所有し、使えるようなマシンだ。その日がついに訪れたのだ。
1975年の1月がパーソナルコンピューター時代の夜明けだとするなら、そのチャンスを最大限に生かせるのはどんな人たちだろう? ここでも、ジョン・D・ロックフェラーやアンドリュー・カーネギーの時代と同じ法則があてはまる。
「1975年の時点で年をとりすぎている人は、おそらくすでに大学を出てIBMで働いているだろう。そしてIBMで働き始めてしまうと、新世界に適応するのがとても難しくなる」と、長年にわたってマイクロソフトの幹部を務めたネイサン・ミルボルドは言う。



