米国最大の電気自動車(EV)メーカー、テスラの四半期販売台数は過去最高となり、約49万7000台を記録した。ただし、年間の販売台数は依然として減少する見通しである。
税控除終了とマスクの露出減少が販売を後押し、第3四半期に49万7099台を販売
テスラの第3四半期のEV販売は過去最高を更新し、アナリスト予想を大きく上回った。これは、米国の税額控除終了前の駆け込み需要、イーロン・マスクCEOがトランプ政権の役職を降り、政府での存在感を弱めたことなどが背景にある。しかし、この販売台数の急増は一時的なものにすぎず、年間の販売台数は今年も減少する見込みである。
テスラは、9月30日を期末とする四半期で49万7099台のEVを販売したと報告した。これは前年同期比7.4%の増加で、今年初めての増加となる。アナリスト予想は最大でも48万台程度だったため、その予想も大幅に上回った。一方、中国や欧州市場での販売は減少した。同社は今四半期が始まった時点で5万台以上の未販売在庫を抱えており、今回の販売増にも対応が可能だった。
「米国での販売が強かったのは、税額控除の終了と在庫の存在を考えれば驚きではなかった」と、調査会社エドマンズのシニアアナリスト、ジェシカ・コールドウェルは述べた。「また、イーロンが政府の中心人物ではなくなったことも有利に働いたと思う。今年初めにブランドの購買意欲を調査した際、テスラに対する印象は必ずしも良いものではなかったからだ。彼が目立ちすぎていたことがブランドに悪影響を与えていたように見えた」
ロボタクシーやOptimusへの期待が株価を支える
7500ドル(約110万円。1ドル=147円換算)の連邦税額控除が終了することにより販売が急増したのはテスラだけではなかった。GM、フォード、ヒョンデなど、他社のEV販売台数も9月に急増している。マスクは投資家に対し、「テスラはAIとロボティクス企業だ」と主張している。しかし、同社の収益のほぼすべてはEV、バッテリー、充電サービスによるものだ。将来的にはロボタクシーやヒューマノイドロボットのOptimusが重要な役割を担う可能性があるが、現在の株価は予想利益の約253倍という過大な評価がされており、その未来は、多くの投資家がマスクの発言を信じるかどうかにかかっている。
「投資家の頭の中では、ロボタクシーやOptimusへの期待が、短期的な同社の傾きへの不安を凌駕している」と、ベアード証券の株式アナリスト、ベン・カロはリサーチノートで述べた。そのため、彼は今年の年間販売減少や短期的な不安定な基盤(トランプ政権が課した関税による自動車、バッテリー販売の利益率悪化など)を予想しながらも、テスラ株の上昇は続くと見込んでいる。
株価は急落──ナスダックで5.1%下落
しかし米国時間10月2日の株式市場はその見方とは異なる反応を見せた。テスラ株は同日のプレマーケット取引で上昇した後、取引開始後に5.1%下落し、436ドル(約6万4000円)の値をつけた。



