シンクタンクのカンファレンス・ボードが米国時間9月30日に発表した調査によると、9月に米国経済に対する悲観論が予想以上に広がったことが分かった。これは、雇用市場の悪化や物価上昇への消費者の懸念が強まっていることを示す最新の経済データである。
カンファレンス・ボードの信頼感指数(経済に対する消費者の見方を測定する指標)は、8月の97.8から9月には94.2に低下し、1985年に設定された100ポイントの基準値を下回った。これは4月以来の最低水準であり、FactSetがまとめた市場予想である96も下回った。
調査によれば、雇用市場に対する期待を引き下げる回答が増えた。消費者の約26.9%が「仕事は豊富」と答えたが、これは2021年2月以来の低水準である。一方、およそ19%が「仕事を得るのは難しい」と答えた。
またカンファレンス・ボードは、消費者の現在の経済状況に対する見方が、2022年7月にデータ収集が始まって以来、月次として最大の下落を記録したと報告した。
景気後退への不安は根強く、より多くの消費者が米国経済はすでに景気後退に入っていると考えている。カンファレンス・ボードの期待指数(市場に対する短期的な見通しを測る指標)は73.4に低下し、依然として景気後退を示す80ポイントのしきい値を下回っている。
米労働統計局(BLS)が30日に発表したところによれば、米国の求人件数は、7月の修正値である721万件から、8月は予想以上に増加して723万件となった。一方、採用率は3.2%に低下し、2024年6月以来の低水準となった。また、自発的に仕事を辞めた人の数は7万5000人減少した。
BLSは10月3日に9月の雇用統計を発表する予定であり、FactSetによれば、エコノミストの間では失業率は4.3%で据え置かれるとの見方が広がっている。非農業部門の新規雇用者数は5万人になると予想されており、8月の2万2000人という低調な数字から改善が見込まれている。ただし、連邦政府の閉鎖が迫っているため、データが予定通り発表されるかは不透明である(日本版注:米国記事公開後に始まった政府閉鎖により、雇用統計の発表は一時停止された)。
米国経済への信頼感はここ数カ月で着実に低下しており、米国民はドナルド・トランプ大統領による関税の物価への影響や雇用市場の弱体化に懸念を示している。先週、ミシガン大学が発表した別のデータでも、消費者心理は5月以来の最低水準に落ち込み、米国人が「高水準の物価が続くことに不満を表明し続けている」ことが示された。回答者の約44%が、インフレが「個人の家計を侵食している」と答えており、これは過去1年で最も高い数値だった。
連邦準備制度理事会(FRB)の当局者は、ここ数週間で金利引き下げの焦点が雇用市場の悪化にあると示している。ジェローム・パウエル議長は、インフレの「短期的な」リスクは和らいだが、雇用市場への懸念が高まっていると示唆した。ミシェル・ボウマン理事も「労働市場が不安定な局面に入るのではないかと懸念している」と述べ、「現状に何らかの衝撃が加われば、突然かつ深刻な悪化につながる可能性がある」と付け加えた。



