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2025.10.15 15:15

Meta・大平かりんがアシスタント時代に感じた「編む」仕事の魅力

Meta グローバルパートナーシップチーム 大平かりん

アシスタント時代を通して感じた「編集者」の存在

カルチャーに関わるクリエイティブな仕事を志していた私にとって、編集者・中島敏子さんとの出会いは、まさに転機でした。MTV JAPANでのキャリアを経て、私は彼女の個人アシスタントとして働くことになり、クリエイティブに対する揺るぎない信念を間近で学びました。

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遊び心を忘れず、同時に「かっこいいものを作り切る」という情熱と闘志を軽やかに持ち合わせている中島さんの背中は、私にとって大きな指針となりました。

アシスタントとして働き始めて間もなく、中島さんは雑誌「GINZA」の編集長に就任。私はそのタイミングで「GINZA」編集部に入り、雑誌制作からSNS運用まで、まるで何でも屋のようにサポート役を務めました。

20代の頃、私はアシスタントという仕事が本当に好きでした。「これが天職かもしれない」と思うほど。アシスタントは、いわば“みんなのお助け隊”。現場で動き回り、アイディアを出し、何かを探してきては提案し、それが誰かの役に立つたびに、心から喜びを感じていました。カメラマンやクリエイター、ライターなど、プロフェッショナルな現場の方々から多くを学び、取材やイベントにも同行させてもらうなど、普通ではできない経験もたくさんさせてもらいました。「こんなに学びが多くて楽しい仕事で、お給料までいただいていいのだろうか」と思うほど、充実した日々でした。

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そこで実感したのは、編集者という仕事は決して一人では成し遂げられないということ。企画を立て、実現のためにさまざまなエキスパートに声をかけ、一つの場に集まってクリエイションし、ようやく形になる――まさに「編む」仕事だと感じました。アシスタントも、その共同体の大切な一員。日々の小さな積み重ねが、やがて自分の得意分野やスキルとなり、人脈も広がっていきました。あのアシスタント時代があったからこそ、今の自分があるのだと心から思います。

SNSへのチャレンジ

2015年頃、Instagramが日本でも本格的に広まり始めたタイミングで、「一番若いあなたがやってみたら?」と、私は編集部のSNS担当を任されることになりました。責任を感じながらも、あれこれと試行錯誤を重ねるうちに、GINZAのInstagramアカウントは着実に成長していきました。多くのメディアが新規アカウント開設の承認に手間取るなか、私たちはいち早く動き出せたことで、先行者利益も得られたのだと思います。けれど何より、自分の手で結果を出せたという経験が、大きな自信につながりました。

その後はWebディレクションにも携わるようになり、これもまた新たな挑戦でしたが、紙媒体で培った経験が大いに役立ちました。紙とWeb、両方のメリットがわかるからこそ、「どうすれば伝えたいことが一番届くのか」を常に考え、最適な手段を選びながら、情報発信の効果を最大限に引き出すことができました。

そんなふうに考えると、アナログなものに触れる時間も、やはり大切だと思うのです。10代の頃、音楽も映画も服も、実際に耳で聴き、目で観て、手で選び、買い求めてきたからこそ、自分だけの「好き」が少しずつ輪郭を持ち始めたと思うんです。たとえば本棚。私には、ひとつあれば十分で、その限られたスペースの中で、本を入れ替えながら、自分の今の気分や関心にぴたりと寄り添う棚を作ってきました。クローゼットも同じです。日々、服を買い足し、組み合わせ、入れ替えるという小さな実験を重ねるうちに、いつも“好き”がぎゅっと詰まった空間ができあがっていきます。もちろん、実際に手に入れてみて「なんだか違うな」と思うこともあります。でも、その「違う」と感じた瞬間さえも、私にとっては大切な発見。そうやって自分自身と静かに対話しながら、新しい自分に出会うたび、心が少しずつ豊かになっていくのを感じています。

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文=倉田佳子 編集=布施加奈子 写真=品田健人

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