アジア

2025.10.03 15:00

中国経済、トランプ関税にどうにか持ちこたえる 米国は「ブーメラン」が農家を痛撃

amagnawa1092 / Shutterstock.com

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世界経済がよろよろと2025年第4四半期に入るなか、中国は貿易摩擦や国内の需要低迷による重圧をさらにひしひしと感じている。

これは中国の習近平国家主席を、誰もが避けたいジレンマに追い込んでいる。手っ取り早い対処策は、追加の金融・財政刺激策を速やかに講じ、信頼感を回復することだ。だがそれは、「過剰」な部分を取り除いて、経済への信頼を高めようとしている政府の取り組みと逆行してしまう。

たぶん習は最初の選択肢を選び、一段の景気刺激策に踏み出すのだろう。強権的な指導者が米国との貿易戦争中に何より嫌がるのは、ドナルド・トランプ米大統領から「中国はダウン寸前だ」と思われることだろうから。

とはいえ、習が実際にどちらの道を選ぶのか世界は固唾をのんで見守っている。

中国本土の9月の製造業活動は前月からわずかに改善したものの、拡大・縮小の節目を6カ月連続で下回った。新型コロナウイルス禍前の2019年以来、最長の不振だ。アジア最大の経済は年初には成長が加速したが、ここへきてより急激な減速のリスクに直面している。

具体的な数字を挙げると、9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.8で、8月の49.4を若干上回った。一方、建設業やサービス業を含む非製造業PMIは50と、前月の50.3から低下した。予想以上に大きな落ち込みだった。PMIは50を下回ると活動が縮小していることを意味する。

保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威は「第3四半期の経済のモメンタム(勢い)は弱い」とコメントしている。

それでも、大半のエコノミストが今年の予想リストに入れていなかった出来事の最上位にくるのは、関税下の中国が米国よりもうまくやっているということかもしれない。

これについては異論もあるだろう。多くの人が確実に訪れると考えていた米国の大不況は、どこにも見当たらないようだ。トランプが引き継いだ米国経済は「惨事」どころか、ウォール街の予想よりも強靭であることを証明しつつある。

だが、雇用、消費者信頼感、住宅市場の最近の動向が示すように、ひび割れも見え始めている。インフレ率も期待以上に高止まりしており、トランプ関税は確実にそれを悪化させるだろう。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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