『社長問題!』では、自身の不妊治療の経験についても明かしている。
1990年代後半に不妊治療を始めるも、なかなかうまくいかず、30代後半で一度中断。その後、高度な技術を要する顕微授精にも取り組み、受精卵を子宮に移植する段階まで進んだものの、着床には至らなかった。本書には、その際のショックについても綴られている。
「不妊治療は精神的、肉体的な負担が大きく、スケジュールの調整も大変でした。治療を中断していた頃、久米宏さんの番組に出演する機会があり、『番組で不妊治療について話してもらえないか』と。当時は、今以上に不妊治療を周囲に明かせない雰囲気で、不妊治療を受けているとメディアで公言している著名人などいなかった。おそらく鋭い久米さんはそこに社会問題があると捉えたのでしょう。番組で治療の経緯や気持ちを話したところ、大きな反響があったんです」
タイタンにも女性スタッフがいるため、女性の働き方について考える機会は多いという。
「ただ、企業の努力でできることには限界がある。国は女性活躍を謳い、女性起業家も増やそうとしているけれど、その分、家事や育児、介護を他の誰かが担ってくれるかと言えばそうではない。いわば、女性がすべてを背負わなければならない状況に追い込まれているんですよね。“女性が輝く”以前に、社会全体の仕組みが変わらなければならないと感じています」
日々、さまざまな課題が降りかかってくる社長業。「最終的な判断を下す経営者は常に孤独である」というのはよく聞く話だが、自身はどうかと尋ねると、「もう孤独だらけですよ!」と即答。
「でも、海外ではそうでもないみたいなんですよ。家庭など他に大切にするべき存在で心が満たされていれば、仕事の上では孤独であってもトータルで見たら孤独ではないのだとか。日本人は、人生における仕事の比重が大きすぎるのかもしれません」
では、太田光と過ごすプライベートは? すると、この日一番の苦笑いを浮かべた。
「ワークライフバランスなんて言葉は無縁で、私の周りは“孤独”の字で埋め尽くされてます。そもそも、家でも太田に“社長”って呼ばれていますから(笑)。還暦記念に世界一周旅行に行こうねって約束していたのに、どこにも行かないまま1年が過ぎました。だからもう孤独と共に生き、自分で自分を楽しませるしかないですね」
おおた・みつよ◎1964年、東京都生まれ。モデル・タレントとして活動したのち、「爆笑問題」の太田光と結婚。1993年にタイタンを設立。お笑い養成所「タイタンの学校」や、ハーブ専門店など多角的に事業を運営。新著『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(文藝春秋)が10月8日に刊行。


