とはいえ、芸人の気持ちがわかりすぎてもダメだという。
「芸人の気持ちがわかりすぎると、反対されるたびに“それもそうだな”などと二の足を踏んでしまう。自分がこれはやるべきと信じたことは誰に反対されようとも貫き、結果を出して“この人の言うことは信じられる”と思わせるしかないんです」
結局、太田が発案したタイタンライブは成功をおさめ、現在まで続く同社の伝統のライブになっている。このように芸人が輝ける場を積極的に用意する一方で、芸人のネタには口出ししないことに決めているそうだ。
「私は芸のプロではないから。たまに芸人からアドバイスを求められることもありますが、教えてあげられることなどほとんどない。だから芸については、自分が尊敬する先輩芸人や現場のスタッフなど、プロに意見を求めて成長してほしいんです」
タイタンでは2024年6月、すべてのスタッフと所属タレントを対象にコンプライアンス研修を実施した。講師は同社所属のタレントで顧問弁護士でもある橋下徹氏らが務めた。
「コンプライアンス研修は一般の会社であれば当たり前のことですよね。芸能界は、どこか常識から外れた人が面白いとされる世界ではあったけれど、近年はそれも変わってきています。これからは何がNGであるかを把握した上で、そのラインには抵触しない範囲で“外していく”という芸ができなければダメだと思っています」
一方で、芸人をがんじがらめにしないため、最大限の努力を怠らない。タイタンは自前の劇場やお笑いスクールも展開しているが、これらは資本をどこにも頼らずに運営している。それも芸人の自由を守るためだ。
「資金を提供してもらうということは意見も受け入れるということ。例えば『当社の企業イメージを考えると、このネタはちょっと……』などとダメ出しが出たら飲まなければならない。そうすればますます芸人の自由度が狭まってしまう。芸人の表現が最大限守られる場にするには、すべてを自社で完結する必要があるのです」


