経営・戦略

2025.10.09 13:00

職場で「心理的安全性」が高まらない本当の理由──経営者が見落としがちな盲点とは

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「心理的安全性の欠如」の背後にある真の問題

真の問題はいったい何だろう? 経営の多くの側面では、主な問題はチームレベルではなく、むしろ組織全体の運営方法にある。

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過去半世紀にわたり、経営者が取り組んできた中心的な問題は、株主価値を最大化し、経営陣のボーナスを増やすため、いかにコストを削減するかだった。これは数十年にわたり、米経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」の公式見解だった。ビジネススクールでも、今なおそのように教えられている。大企業でも、こうした従来型経営のプロセス、システム、思考様式の大半が、依然として機能している。

したがって、好むと好まざるとにかかわらず、それこそが経営者が解決すべき問題であり、そうした環境では、心理的安全性が欠如するのも当然だろう。

コスト削減から顧客価値創造へ

朗報がある。上場企業の約20%は、「コスト削減と価値の搾取」から「さらなる顧客価値の創造」へとシフトしている。

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価値創造型企業は、2つの要素が組み合わさって生まれた。一つは、デジタル技術とAIを活用した起業家が、従来型経営の企業に比べて指数関数的に多くの価値を提供し始めたこと。もう一つは、デジタル技術によって、顧客が企業に対して、より多くの価値を求める力を得たことだ。

重要な洞察として、価値創造型企業は、顧客を満足させているだけでなく、従来の利益追求型企業と比べて、はるかに多くの収益を上げている点が挙げられる。「顧客価値の創造に専念する職場」は、「顧客から価値を搾取し、経営陣のボーナスを増やすことを重視する職場」に比べて、働きやすい環境である可能性が高い。

一方で、いまだに効率改善とコスト削減を主眼とする利益追求型の企業は、平均以下の価値しか生み出せず、生き残りに苦戦している。ダウ工業株30種平均に名を連ねる優良企業のうち3分の2は現在、平均を下回るパフォーマンスしか上げていない。

これらの企業が直面しているパフォーマンスの問題は、当然ながら職場の心理的安全性の問題を、さらに悪化させる。なぜなら、このような企業の従業員は、業績不振の責任を問われる可能性が高いためだ。

したがって、心理的安全性を高めることに苦戦している経営者の多くは、間違った問題を解決しようとしている可能性がある。これらの経営者が、自社の目標を見直し、「さらなる顧客価値の創造」へと焦点を移せば、その職場は、「顧客から価値を搾取する」という気が滅入るような目標から、「顧客のために価値を創造する」という、やる気がみなぎる目的へと移行できるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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