成田国際空港は、代替航空燃料(SAF)の原料となるスイートソルガムの栽培・バイオエタノール生産の実証実験を、空港周辺の騒音対策用地の一部で開始した。今後は栽培を拡大し、バイオエタノールからSAFを製造・供給する。この一連の脱炭素化事業を地域で完結させる『地産地消モデル』の確立を目指す。
現在、A滑走路の北側にある同社所有の約1000平方メートルの敷地で栽培されているスイートソルガムとは、日本ではモロコシ、タカキビなどと呼ばれているイネ科の農作物のなかでも、茎に多くの糖を蓄積する品種のことだ。世界ではおもに家畜の飼料用として栽培されている。あまり食用にはされないため、食糧競合の心配が少ない。
しかもここで栽培されているスイートソルガムは、名古屋大学が開発した「炎龍」という特別な品種。小麦などが育たない荒れた土地でも栽培でき、エタノールの原料となる糖蜜の収量性が高く、1度の作付けで年2回収穫できるという優れものだ。糖を絞ったあとは家畜の飼料になるので、家畜の食糧競合もない。しかも、背丈が5メートルにも成長するというから驚きだ(通常の栽培種は人の背丈ほど)。
実証実験では、炎龍の栽培をスイートソルガムの栽培実績のある農業法人HSSが担当。バイオエタノールの製造には神戸大学大学院工学研究科が開発した技術を使用する。また将来的に、SAFの製造は、触媒を使ってアルコールから厳格な規格のジェット燃料を抽出するATJ技術を持つ地元の業者に依頼し、これら一連の事業の千葉県内での拡大可能性などを、ちばぎん総合研究所が調査検討することになっている。

空港での二酸化炭素排出量がもっとも多いのはジェットエンジンの排ガスだ。成田国際空港は、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにすることを目指している。今回の取り組みは、その大きな柱になる。



