筆者は、全国数千名の経営者が集う私塾を主宰しているが、そのため、様々な経営者から大切な質問を受ける。
その一つが「経営者が身につけるべき究極の力は何か」との質問である。
これは極めて重要な問いであるが、筆者の答えは明確である。読者は驚かれるかもしれないが、誤解を恐れず述べておこう。
「運の強さ」
それが、経営者が身につけるべき究極の力である。
実際、永年、優れた経営者を数多く見てきたが、名経営者と呼ぶべき人物は、例外なく誰もが、この「運の強さ」を持っていた。
しかし、それは決して「強運の星の下に生まれた」といった運命論や神秘論の意味ではない。
そうではない。「運気」とは、その人物の「人間力」が引き寄せるものに他ならない。実際、筆者が縁を得てきた「強運の経営者」は、人を惹きつける魅力を持ち、多くの人が周りに集まり、共に歩んでくれる「人間力」を持っていた。
このことは、『運気を磨く』という著書においても詳しく述べたが、しかし一方で、ある時期まで「優れた人間力」と「運気の強さ」を持っていると思われた経営者が、「晩節を汚した」と評される状況に陥った姿も、様々に見てきた。
では、なぜ、そうしたことが起こるのか。なぜ、この経営者から「運気」が去っていったのか。
その理由も、明確である。



