アマゾンは米国時間9月30日、米国ニューヨークで開催したイベントでAIエージェント「Alexa+(アレクサプラス)」に対応する新製品を発表した。今回の発表ではFire TV、Kindle、Echo、Ringブランドのセキュリティカメラなど多彩な製品群が紹介され、Alexa+を中心に据えた次世代AIスマートホームの姿が示された。
生成AIベースに生まれ変わったAlexa+
Alexa+は、今から約10年前から音声操作に対応するパーソナルアシスタントとして普及を拡大してきた「Alexa」を生成AIベースに作りかえた新しいサービスだ。その基盤には、アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービスのAWS(Amazon Web Service)から生まれた大規模AIモデル「Amazon Nova」と、これを活用する外部パートナーのためのフルマネージドサービス「Amazon Bedrock」がある。
音声操作などのトリガーにより、呼び出されたAIが1件ずつコマンドに応答する従来型の体験を超えて、Alexa+はより柔軟かつ自然な会話型の応答ができるAIエージェントに進化した。
Alexaの機能を拡張するアプリのような機能に位置づけられる「スキル」は、ユーザーによる特定の呼び出しを行ったときにのみ応答する仕組みだった。しかしAlexa+では、スキルは依然として存在しつつも、複数のスキル(アプリ)やサービスがシームレスに連携しながら、ユーザーと対話を交わすような仕組みを再定義している。Alexa+というAIエージェントは、その体験をオーケストレーションする指揮者的な存在に位置付けることもできる。
実用を前提としたAIエージェント
Alexa+の最大の特徴は、すでにユーザーの生活に深く根づいたスマートホームのプラットフォームと連携しながら実用的な体験を提供できるところにある。
このAlexa+には70を超える専門的なAIモデルが統合されており、内容の深さと精度において意義ある応答が期待できる。さらAlexa+は「感情知能(Emotionally Intelligent)」を備え、ユーザーの文脈や習慣、嗜好に合わせて進化する。従来型のLLMは多言語対応を実現しながら文化や生活習慣への対応に苦戦している。対するAlexa+は「パーソナルメモリー」を持ち、利用者の生活習慣に合わせて柔軟に学習していく。使えば使うほど自分仕様にパーソナライズされるのが大きな特徴だ。



