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2025.10.07 09:30

AIに潜む西洋中心の見えない差別を取り除く、「Justice AI GPT」が描く倫理革命

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多くの組織や機関は、迅速かつ効率的な意思決定や、複雑で時間のかかるプロセスの合理化にAIを活用している。しかし、利便性の高さの裏にはリスクも潜んでいる。オルティスは次のように指摘する。「職場の規範や社内文化におけるバイアスは、しばしば表面に現れず、隠れたコードとして存在している。求人広告や人事文書で『文化的適合性』や『優れたコミュニケーション能力』を求める表現は一見中立的に見えるが、実際には白人の価値観を基準にしていることが少なくない。そこで、Justice AI GPTはこうした隠れたコードを特定し、多様な表現や言語、ニューロダイバーシティのコミュニケーションスタイルなどを尊重する形に書き換える。これにより、従業員は貢献度に応じて正当に評価され、暗黙の植民地主義的規範による不利益を被ることがなくなる」。

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オルティスによれば、現在112の組織がJustice AI GPTを導入し、規範や手順に潜むバイアスの監査やDEI(多様性・公平性・包括性)コーチングの支援に活用しているという。「組織は、バイアスが潜む場所を推測するのではなく、正確に特定し、システムをリアルタイムで再設計できるようになった。研修モジュールやリーダーシップ開発の再構築にもJustice AI GPTが活用され、公平性はもはや後付けの要素ではなく、組織運営の原則として定着しつつある。また、大手企業2社が人事部門でJustice AI GPTを導入し、採用プロセスで民族的背景や非西洋的な教育履歴、ニューロダイバーシティに基づくコミュニケーションスタイルを理由に、有能な候補者が排除されることを防いでいる。さらに、社員研修・育成の現場では、Justice AI GPTが職場文化改善プログラムやバイアス対策コーチングを支え、職場文化の変容を単発のワークショップに留まらず、組織レベルで実現している」とオルティスは説明する。

Justice AI GPTは月額20ドル(約3000円)で利用可能で、ChatGPT、Claude、Geminiなど主要なAIプラットフォーム上でプラグインとして動作する。また、職場の特定ニーズに応じてカスタマイズすることも可能だ。

オルティスはJustice AI GPTの展望について、次のように語った。「今後数年間で、100万人のユーザー獲得を目指している。あらゆる業界の組織、さらには各国政府への導入も視野に入れている。世界情勢は変化し、市場は相互に結び付き、移民が人口構成を変え、テクノロジーが距離を縮めている。こうした環境下で、異文化コミュニケーションの重要性はかつてないほど高まっている。それは分断を深める要因にも、連帯を築く力にもなり得るのだ」。

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forbes.com 原文

編集=朝香実

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