中国は2カ月連続で米国から大豆を輸入していない。さらに重要なことに、来たる米国産大豆収穫の最盛期に向けて、中国からの注文が入っていない。
米国のドナルド・トランプ大統領が最初の任期中に中国との貿易戦争を開始する以前、中国は米国産大豆輸出の半分以上を占めていた。特に収穫の最盛期となる10~1月にかけては、米国は大豆の50~70%を中国に輸出していた。
トランプ大統領が政権に復帰したことで、米中の貿易戦争は再燃している。同大統領は一時、中国に対して145%もの高関税を課すと脅し、中国はこれに対抗して米国からの輸入品に対する関税を125%に引き上げると応酬した。幸いなことに、世界の二大経済大国は冷静な判断をした。少なくとも一時的には。トランプ大統領は追加関税の適用を二度延期しており、二度目の期限を11月上旬に設定した。
その期限を前に、交渉戦略と見られる動きとして、中国向け大豆輸出量は6月と7月にゼロとなった。筆者が米国勢調査局のデータを分析したところ、2カ月連続で輸出量がゼロに落ち込んだのは2004年の春夏以来となる。
今年1~7月までの米国産大豆の輸出は世界全体で前年同期比23.26%減少したが、中でも対中輸出は同51.29%(26億ドル、約3800億円)減少した。米国から中国への輸出総額は同20.61%(165億ドル、約2兆4300億円)減少している。この減少幅は、米国の輸出総額の85%弱を占める上位25カ国の貿易相手国の中で最も大きい。対中輸出の減少は大豆だけにとどまらない。変動の激しい原油の対中輸出額は同87.09%(42億2000万ドル、約6200億円)減、乗用車は同51.24%(16億6000万ドル、約2400億円)減、液化天然ガス(LNG)は同31.51%(10億8000万ドル、約1600億円)減となった。
中国は米国との最初の貿易戦争で、大豆を含む4品目すべてを報復関税の対象としたが、今回も同様の措置を取っているようだ。一方、米国による中国への関税措置はより広範囲にわたる。その結果、米国による中国からの輸入も急減しており、米国の対外貿易赤字全体が拡大し続ける中、対中貿易赤字は縮小している。かつては米国最大の貿易相手国だった中国は、現在では第3位に後退している。



