音楽

2025.10.21 15:30

YOASOBIだけじゃない、グローバルに広がる「日本語J-POP」の可能性

Getty Images

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Koshyが手がけた「チーム友達」やf5veの「Underground」など、昨今は日本語の音楽が海外でバズる。その理由は何なのか。そこにどんな可能性があるのか。音楽ジャーナリストの柴那典が解説する。

※この記事はForbes JAPAN10月号「30 UNDER 30」特集からの転載です。


近年、グローバルに活躍の場を広げるJ-POPアーティストがますます増えている。Ado、藤井風、YOASOBI、米津玄師、BABYMETALなどが大規模なワールドツアーを敢行し、世界各地で着実に人気を獲得しつつある。2025年5月には新たに京都で国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」も開催され、日本の音楽を世界へ発信していく機運が高まっている。

なぜこうした潮流が生まれたのか。転換期になったのはコロナ禍だ。ストリーミングサービスが普及し、配信を通じて海外にリスナーを獲得し収益を得ることができるようになった。日本のアニメ人気の拡大とともに主題歌が広く聴かれるようになり、TikTokの普及によりグローバルなバイラルヒットが生まれるようになった。

23年4月に発表されたYOASOBIの「アイドル」はその象徴的な一曲だ。アニメ「【推しの子】」の主題歌として書き下ろされた同曲の人気は海外に波及し、TikTokでのダンス動画も大きなブームとなった。同曲は日本語楽曲として初めて米ビルボード発表の「Global Excl. U.S.」チャートで1位を獲得。24年1月にリリースされたCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」も同様の流れでグローバルなヒットとなった。

一方、藤井風の「死ぬのがいいわ」はTikTokのバズから生まれたリスナー主導のオーガニック(自然発生的)なヒットの典型例だ。この曲はもともと20年に彼がリリースしたアルバム『HELP EVER HURT NEVER』の収録曲。この時点ではシングルカットされておらず、ミュージックビデオも制作されていない。あくまでアルバムのなかの一曲という扱いだった。

しかしリリースから2年以上を経た22年7月下旬に突如この曲が各国のチャートを上昇し始める。タイのSNSから火が付き、インドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポールなど東南アジア各国に流行が波及。国境を超えたバイラルヒットが北米やヨーロッパにも広がった。

TikTokによるリバイバルも

シティポップなど過去の日本の楽曲が海外で注目を集める事例も多い。1979年11月にリリースされた松原みきのデビューシングル「真夜中のドア-stay with me」のヒットはその代表例だ。20年12月にはSpotifyのグローバルバイラルチャート(世界全体で話題となっている楽曲を示すランキング)で18日連続1位という記録を樹立した。

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文=柴 那典

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