ほか、千住博や平松礼二といった巨匠のマスターピースも見ものだが、飛鳥IIから継続して若手作家の作品も展示・販売。さらに飛鳥Ⅲでは、船内をインクルーシブなアート空間にする目的で「日本の四季を旅する」をテーマに公募を実施。絵画や写真など2000点以上の応募のなかから入選した126点が船内を彩る。グランプリに輝いた“夕暮れ空と鯛”の作品は、「めでたい」にかけてカジノに飾られていた。
地銀とのネットワークは、「ASUKA III meets 47都道府県」プロジェクトというかたちで展開。リビングスペースを備えたミッドシップスイート47室に都道府県を割り当て、各地の工芸品や特産品を揃えてゲストをもてなす。
伝統工芸から生活様式まで、日本の文化が海外から評価されるほどに、「日本人のほうがわかってない」とよく聞かれるようになった。その点、ゲストの9割以上が日本人という飛鳥クルーズは、部屋や階段、レストランで、日本人が日本文化に触れる絶好の機会となる。主軸の60代以上の顧客に加え、洋上リモートワークの環境も整った今「現役世代にもアプローチしていきたい」(広報)という点にも期待がかかる。
国交相が「2030年までに日本人のクルーズ人口100万人」と目標数値を公表するなど盛り上がるクルーズ市場。独自路線をいく飛鳥IIIの行方に注目したい。


