47都道府県の文化に触れる 洋上の日本パビリオン「飛鳥Ⅲ」|アートな数字

「飛鳥Ⅲ」のイタリア料理レストランには千住博のガラス作品3点が並ぶ。

公募入選者の作品を鑑賞しながら船内を散歩するのはよい運動に。
公募入選者の作品を鑑賞しながら船内を散歩するのはよい運動に。

ほか、千住博や平松礼二といった巨匠のマスターピースも見ものだが、飛鳥IIから継続して若手作家の作品も展示・販売。さらに飛鳥Ⅲでは、船内をインクルーシブなアート空間にする目的で「日本の四季を旅する」をテーマに公募を実施。絵画や写真など2000点以上の応募のなかから入選した126点が船内を彩る。グランプリに輝いた“夕暮れ空と鯛”の作品は、「めでたい」にかけてカジノに飾られていた。

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福井県の部屋には、1,500年以上の歴史をもつ工芸・越前和紙の作品。
福井県の部屋には、1,500年以上の歴史をもつ工芸・越前和紙の作品。

地銀とのネットワークは、「ASUKA III meets 47都道府県」プロジェクトというかたちで展開。リビングスペースを備えたミッドシップスイート47室に都道府県を割り当て、各地の工芸品や特産品を揃えてゲストをもてなす。

船内各所に飾られた“買える”工芸作品。作家たちは作品が旅をすることを喜んでいるという。
船内各所に飾られた“買える”工芸作品。作家たちは作品が旅をすることを喜んでいるという。

伝統工芸から生活様式まで、日本の文化が海外から評価されるほどに、「日本人のほうがわかってない」とよく聞かれるようになった。その点、ゲストの9割以上が日本人という飛鳥クルーズは、部屋や階段、レストランで、日本人が日本文化に触れる絶好の機会となる。主軸の60代以上の顧客に加え、洋上リモートワークの環境も整った今「現役世代にもアプローチしていきたい」(広報)という点にも期待がかかる。

国交相が「2030年までに日本人のクルーズ人口100万人」と目標数値を公表するなど盛り上がるクルーズ市場。独自路線をいく飛鳥IIIの行方に注目したい。

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文=鈴木奈央 写真=山田大輔 書=根本充康

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