エクイティ・マネジメント・アソシエイツ創業者のローレンス・レパードは「クラップアップ・ブーム」が進行中だと見ている。これはオーストリア学派経済学の用語で、制御不能な紙幣増刷によって人々がハードアセットに殺到する現象を指す。レパードは著書『The Big Print』でこの概念を取り上げている。金が先行して恩恵を受けているのは、年金基金や中央銀行はそれを受け入れやすい一方で、ビットコインは依然として「野生児」であり、機関投資家がまだその扱いに慣れていないからだ。
2025年の投資移住コンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズの報告によると、ビットコインの保有者は世界で2億9500万人に達した。しかし、ワールド・ゴールド・カウンシルが2025年に実施した調査によると、中国の回答者の81%が金の装飾品を保有している。人口14億人のこの国だけで、世界のビットコイン保有者総数を上回る金保有者がいる可能性があるのだ。金は流動性があり、規制当局からの承認も得ているため、危機を察知した機関投資家が頼る存在となる。ビットコインは依然として多くの国で規制のグレーゾーンにあり、動き出すのは遅れるが、一度動けばより大きく振れる。
レパードは両方を受け入れている。運用資産1億5000万ドル(約222億円)のEMA GARPファンドは、崩壊する法定通貨システムへの賭けとして、貴金属鉱山株とビットコインを保有している。このファンドは2025年前半に56%上昇した。ほかのビットコイナーからの不満を耳にしても、レパードはビットコインの「遅れ」について笑い飛ばす。「みんな、前年比で80%上昇していることに気付いていないのか?」と彼は笑いながら言う。「悪くないだろう?」。
感謝祭までにビットコインは金を追い越すか?
では、投資家への教訓は何だろうか。
金とビットコインは反骨精神を共有しているが、双子ではない。金は老練なベテランで、市場が揺れるときに安定する。一方ビットコインは血気盛んな新参者で、いまだにテック的なバブルと崩壊の波に結び付いている。少なくとも現時点ではそうだ。今年は金が優勢だが、長期で見ればビットコインが依然として先を行っている。そして今年ですら、ビットコインはより適切なベンチマークであるナスダックを6%超上回っている。
さらに今後に期待できる理由もある。2013年以降、9月は平均で3%下落とビットコインにとって最悪の月だったが、10月と11月はそれぞれ平均22%と46%の上昇を記録している(Coinglass調べ)。もしこれが続けば、感謝祭(11月末)までにビットコインは金を追い越し、さらなる金投資家をデジタルの信奉者へと変えるかもしれない。


