金は2012年以降停滞も直近2年で倍増、ビットコインは10万ドルを突破
その違いは軌跡にも表れている。2009年に誕生したビットコインは、当初は数セントで取引されていたが、現在では10万ドルを超えるまでに急騰した。その道程は、健全なマネーという正統性だけでなく、テック的な熱狂によっても支えられてきた。一方で金は、2012年に1800ドル近くでピークをつけた後は横ばいが続き、ここ2年間でようやくその2倍へと上昇したにすぎない。
ETFを提供するダイレクシオンでオルタナティブ投資を統括するエド・エギリンスキーは率直にこう言う。「ビットコインは、それが違うと証明されるまではリスクオンの賭けだ」。同社が提供するDaily Gold Miners Index Bull 2X Sharesは、運用資産総額99億ドル(約1兆4600億円)を抱え、今年は300%超の急騰を遂げ、金価格上昇の波に乗った(このようなレバレッジ型ETFは短期のアクティブ取引向けに設計されており、日々監視が必要である)。
エギリンスキーにとって、金は分散投資の手段として時にヘッジを提供する。一方でビットコインは、混乱に耐え得るアンカーというよりは取引用の手段だと彼は主張し、その見方は数値が裏付けている。
2017年以降、ビットコインはテック中心のナスダック100とより連動しており、30日平均の相関は0.32であるのに対し、金との相関はわずか0.09にとどまる。相関とは、2つの資産がどの程度同じ方向に動くかを測る指標で、1.0に近いほど連動が強い。平たく言えば、ビットコインはフォートノックス(フォートノックス陸軍基地の地下にある米国金保管庫)ではなく、シリコンバレーのリズムに合わせて動いているのだ。成長株とともに急騰し、リスク選好が薄れると急落する。一方で金は、世界が揺らいでいるときにもっとも輝く。
そのため、世界的不安と米ドル下落に動揺した中央銀行は今、金に殺到している。フィナンシャル・タイムズは、彼らの金保有高が1990年代半ば以来初めて米国債保有を上回る見込みだと報じている。


