AI企業の最新評価額
推定上OpenAIが企業価値で先頭を走っている。サム・アルトマンが率いる同社は、3月の資金調達により3000億ドル（約44兆3800億円）の評価額となり、さらに株式のセカンダリー売却（既存の株主が保有する株式を第三者に売却すること）を検討しており、その場合は評価額が5000億ドル（約74兆円）に達すると報じられている。これはOpenAIが世界で最も価値の高い未公開企業になる数字である。
イーロン・マスクのxAIは9月に負債と株式の合計で100億ドル（約1兆4800億円）を調達し、同社の評価額は約1500億ドル（約22兆1900億円）となった。しかし同社は調達からわずか1週間で、投資家から別途100億ドル（約1兆4800億円）を調達して評価額を2000億ドル（約29兆5900億円）に引き上げる態勢を整えたと報じられた。Anthropicは9月の資金調達で130億ドル（約1兆9200億円）を調達し、評価額は1830億ドル（約27兆1000億円）となった。
AIブームで最も活発な富豪は誰か？
AIブームは長年のテック富豪の資産を押し上げ、新たなテック長者も生み出した。半導体設計・AI投資で知られるエヌビディアの最高経営責任者ジェンスン・フアンの純資産は過去2年で急増し、推定1620億ドル（約23兆9700億円）に達して2025年9月時点で世界第7位の富豪となった。Anthropicの共同創業者であるきょうだいのダリオ・アモデイとダニエラ・アモデイは今年ビリオネアとなり、いずれも推定37億ドル（約5500億円）の純資産に達した。サム・アルトマンは昨年ビリオネアとなり、Reddit、Stripe、核融合企業Helionへの投資によって推定22億ドル（約3300億円）の純資産を持つ（OpenAIの株式は保有していない）。マスクはxAIの設立以前からビリオネアであり、2025年9月時点で推定4900億ドル（約72兆4900億円）の純資産を誇り、世界一の富豪である。
スタートアップが直接競合するマスクとアルトマンは、互いの企業ポリシー、製品、事業アプローチをめぐって複数回公に対立している。マスクはGrokをオープンエーアイのChatGPTに対する反「woke」（ウォーク、進歩的思想）版と位置づけ、OpenAIを「実質的にマイクロソフトに支配された、クローズドソースの最大利益追求企業だ」と述べた。アルトマンは2023年のポッドキャストで「その大半は事実ではなく、イーロンもそれをわかっていると思う」と語った。マスクは今年初めにOpenAIに対して、947億ドル（約14兆円）の買収提案（事前協議のないオファー）を行った。アルトマンは同社は「売り物ではない」とし、マスクの提案は「我々の足を引っ張る意図だった」と述べた。
注目の数字
スタンフォード大学・人間中心AI研究所（Stanford Institute for Human-Centered Artificial Intelligence：HAI）の報告によれば、昨年AIに民間から投じられた資金の総額は1090億ドル（約16兆1200億円）である。
背景（Key Background）
スタンフォードの報告は、AIを活用する企業が増えていることも示している（2024年には組織の78%がAIの利用を報告し、2023年の55%から上昇）。報告書は、言語モデルの改善によりAIの利用コストが低下し、アクセスしやすくなっていることを指摘しており、ハードウェアの運用コストは年率30%のペースで低下し、エネルギー効率は毎年40%改善しているとしている。
アルトマンは9月にAxel Springer Global Reporters Networkに対し、2030年までに人工超知能（人間よりも賢いとされる仮説上のAI）が実現されなければ驚くでしょうと語っている。
