欧州

2025.10.01 09:30

ロシア政府がポップカルチャーを利用、戦況から大衆の注意をそらすためか

ロシア・モスクワ交通博物館主催のビンテージ自動車展示会。2025年7月13日撮影(Tian Bing/China News Service/VCG via Getty Images)

モスクワを流行の最先端の場所として位置付けようとする取り組みは、一定の成功を収めている。ブラックリスト入りする危険性があるにもかかわらず、ウディ・アレンやリュック・ベッソンといった著名人もこれらのイベントに参加している。ロシア入国に伴う実務上の困難から、一部はオンラインで参加しているが、ロシア政府が自国に関する物語を再構築しようと熱心に働きかける中、実際に現地に赴く西側の有名人もいる。

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こうしたイベントの開催は決して安くはない。試算によれば、モスクワでの大規模行事には数億ドルの費用がかかるとみられている。とはいえ、これを投資と見なすこともできるだろう。モスクワ市当局は、「イベントツーリズム」構想により、ひと夏で5億ドル(約750億円)以上の観光関連の税収が得られ、フェスティバル自体で採算が取れるようになったと宣伝している。

国内では偽りの平静を装い続けてきたロシア政府は、さらに大きな構想を練っている。従来の海外向けプロパガンダに加え、ポップカルチャー外交も積極的に活用し始めているのだ。実際、ロシア政府は欧州を代表するポップカルチャーイベント「ユーロビジョン」に対抗する国際歌謡コンテストを立ち上げた。ロシアはウクライナへの全面侵攻を開始した2022年以降、ユーロビジョンから締め出されているが、同イベントの過剰な「進歩性」は、ロシア国内では嘲笑の的となっている。今年に入り、ロシア政府は「伝統的価値観」を推進するため、ソビエト時代の歌謡コンテストを正式に復活させた。

これらに対して、ロシア政府は明らかに高い代償を払う覚悟があるようだ。これはすべて、プーチン大統領が自ら選んだ戦争によって引き起こされた現実世界の問題から、ロシア国民の不安、特に都市部のエリート層の注意をそらすために設計された「通常通り」のメッセージの一環だ。では、唯一の難点はどこにあるのだろうか? こうした戦略は本質的に持続不可能だということだ。ソビエト連邦の崩壊が私たちに教えたことがあるとすれば、それは過度に軍事化された経済が、永遠に虚飾を支え続けることはできないという点だ。統治者がバターより銃を選ぶと、まずバターが消え、続いてパンやサーカスも消えていく。

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米国のドナルド・トランプ大統領はこれまでロシアに対して好意的な態度で接してきたが、9月に入って方針転換し、多くの人々を驚かせた。同大統領は自身が立ち上げたソーシャルメディア(SNS)のトゥルースソーシャルに、ウクライナが元の全土を奪還できると確信していると投稿した。この方針転換はトランプ大統領が、ロシアの真の経済状況と同国の戦争継続は持続不可能であることを理解したことを示唆している。ロシア政府がパフォーマンスを演じ続ける中、一般のロシア国民が同じことに気づくのは時間の問題だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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