——「THE DAY」のようなさまざまな企画のアイデア発想のプロセスについても教えて下さい。Podcastやディレクションでは複数のテーマを関連付けたり、異なるコンテンツを横断してお話されていますが、意識していることはありますか?
意識はしていないけれど、日常的に物事の共通項を探していますね。世の中にはコンテンツがあふれているけれど、それを包むメディアがないと人は受け取れない。だから、それをひとまとめにできる箱や、握りやすい取手を作ってあげることを、基本的に僕はずっとやっている気がします。単なる思いつきがアイデアと呼べるものになる瞬間があるとしたら、その最適なパッケージを思いついた時かもしれないですね。
——ご自身のひらめきやアイデアを記録する際はどうしていますか?
iPhoneのメモと、僕個人宛のLINEにメモしています。とにかく居心地よく過ごすことが最優先なので、分類や整理もほとんど行わずに、すぐに開けて書けるアプリを使っています。
あとは基本的に、メモは見返さないですね。メモを取る理由って、基本的には自分が考えを出力したという、身体の記憶を残す為だと思っているので。だから僕にとってメモというのは、アウトプットの壁打ちみたいな感じです。
——TaiTanさんは、日常のどんな瞬間を言葉としてアウトプットしたいと思うのでしょうか?
見過ごされがちな事象に対して、自分の感情を言葉に落とし込みたい時が多いと思います。
例えば、プレゼントキャンペーンというラジオ局の伝統的なコミュニケーション方法を、昔からめちゃくちゃダサいなと思っていて。僕がTBSラジオでやった「盗-TOH-」という企画は、そういうダサくて使い古された手法を前提にして、「あげるよ」っていうのじゃなくて「盗んでいいよ」」と言い換えただけなんですよ。たったそれだけで、4時間の行列ができる熱狂的なイベントになるのは面白いですよね。
さっき話した、飲み会でペットボトルの水を渡されるシーンもそうですが、常日頃「これはダサいな」「なんでこんな楽しくないんだ」と感じる些細なネガティヴを言葉にしておいて、記憶から引っ張り出す訓練をしている。そこから、ネガティヴをどうにかポジティブに反転する方法は無いのか?と模索する瞬間が、思考の取っかかりになることが多いですね。


