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モビリティ

2025.10.02 08:00

欠陥だらけのテスラの自動運転を放置し続けている「法の抜け穴」

Photo credit should read CFOTO/Future Publishing via Getty Images

繰り返される改善なきテスト、競合ウェイモとの安全意識の差

2年前、オダウド率いるドーン・プロジェクトは、停車中のスクールバスを使った簡単なテストを行った。テスラがバスに近づくと、スクールバスの車体側面から点滅する一時停止サインが突き出され、子どもたちが安全に横断できるよう停車を促す仕組みになっていた。しかしこの初回テストで、テスラは一度も止まらず、バスの前を子どものマネキンが横切っても減速すらしなかった。

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今月、フォーブスがこのテストを再現したところ、結果は同じだった。警告サインに停車せず、再び「ティミー」と名付けられた子どものマネキンをはね飛ばしてしまったのだ。

その直後にフォーブスは、アプリから呼び出したウェイモの車両で同じテストを行った。するとウェイモはサインにきちんと停車し、サインが格納されるまで動き出さず、もちろんティミーをはねることもなかった。

「私たちは2年以上前にテスラのスクールバスに絡む問題を報告したのに、何も対応されなかった」とオダウドは語る。「ニューヨーク・タイムズに全面広告を出し、スーパーボウルでもCMを流した。それでもテスラは何もしなかった」。

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気味の悪い不具合の報告は珍しくない

また、問題は点滅するスクールバスのサインを見逃す件だけではない。オーナーによれば、FSDは踏切の遮断機が下りて警告灯が点滅しても停車しないようだ。ほかにも気味の悪い不具合の報告は珍しくない。あるオーナーは、FSDバージョン13.2.9を搭載した自分のモデル3が、信号のない左折を実行する途中で突然停止し、対向車が正面から迫ってきたと語った。

「時速45マイル(約72キロ)でこっちに車が突っ込んできているのに、私はその車線の真ん中で止まっていた」とテスラ・モーターズ・クラブの投稿主は記している。「慌ててアクセルを踏んでFSDを解除したが、その瞬間にさらに驚かされた。車が突然バックしたんだ!」。幸いにもそのおかげで正面衝突は避けられ、後方に車もいなかったが、オーナーは肝を冷やしたという。

自動車レビューサイトのEdmundsもFSDの評価を行い、ソフトの改善を認めながらも「苛立たしい」問題が残っていると指摘する。「この機能は、動物の死骸やタイヤの破片、路面の穴などの障害物を避けるよう微調整してくれない」と同サイトは述べている。「それだけならまだしも、ドライバーが修正しようとすると嫌がる。障害物を避けようと少しでもハンドルを切ると、システム全体が突然オフになる」。

Edmundsは、現状のFSDに8000ドル(約118万円)を支払うことを顧客に勧めていない。

またこのような問題は、マスクが2016年に打ち出した「米国横断の完全自動運転」に挑戦していた2人のテスラのインフルエンサーにとって、「苛立ち」どころではなかった。サンディエゴを出発して約60マイル走ったところで、彼らの新車のモデルYが高速道路上の車線中央にあった大きな金属片を避けきれず、車体下部を深刻に損傷した。この様子はインフルエンサーの1人「Bearded Tesla Guy」が投稿した動画に記録されている。

「なぜなら政府が動かないからだ。規制当局も動こうとしない」

自動車業界や規制当局に強い影響を持つコンシューマー・リポートや米道路安全保険協会(IIHS)は、FSDの詳細な評価をまだ公表していない。ただしコンシューマー・リポートの編集者は最近のポッドキャストで「FSDの体験はそこそこ良かった」と述べていた。一方、IIHSはFSDのドライバー警告機能を「不十分」と評価している。

NHTSAは、特定の車種や機能に重大な安全上の問題があると判断すれば、自動車メーカーに「販売停止」を命じることができる。2016年には、新興企業Comma.aiが一部の車種向けに販売していた運転自動化の後付け製品に「特別命令」を出し、同社は販売を断念した。

オダウドは「NHTSAもFSDに対して同じような措置を取るべきだ」と主張するが、実際にそうなるかは不透明だ。現在ドーン・プロジェクトは、フォーブスの検証と同様の走行評価を、カリフォルニア州司法長官ロブ・ボンタや連邦下院議員サルード・カルバハルといった公職者に提供し、FSDの不具合を実演している。オダウドが率いるグリーン・ヒルズ・ソフトウェアは、国防総省や航空機メーカーに長年ソフトを供給してきた企業で、ドーン・プロジェクトの資金も担っている。現在の予算規模について彼は詳細を明かさなかったが、「相当な額だ」と述べた。

「製薬会社が、がんを治せないのに『万能のがん治療薬だ』と宣伝することはあり得ない。そんなことをすれば、即座に訴えられ、刑務所に入れられ、すべてを失うだろう」とオダウドは語る。「だがマスクはそれを毎日のようにやっている。なぜなら政府が動かないからだ。規制当局も動こうとしない。だからこそ私たちが存在している」。

求められる新たな規制強化、技術革新と安全は両立するのか

ロボタクシー開発企業Zoox(ズークス)の元最高安全責任者であり、2016年に最初のテスラ・オートパイロット死亡事故が起きた当時のNHTSA局長でもあったマーク・ローズカインドは、FSDのような技術には新たな規制と、外部の専門機関による検証の両方が必要だと考えている。

「自動運転車の安全性や透明性、そして信頼を本当に確立したいのなら、連邦の枠組みを革新的なアプローチで強化しなければならない」とローズカインドはフォーブスに語った。そのためには「第三者による独立した中立的な検証プログラムを導入し、安全性を証明するために一定の要件をクリアさせること。そして透明性を確保し、信頼を築くことが必要だ」と強調する。

一方で、自動運転研究者のカミングスは、テスラの技術の問題をある意味で軽減する要素もあると見る。「FSDがひどいのは明らかで、そのおかげで多くの人が注意深く監視している。そこが唯一の救いだ」と彼女は語った。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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