今週は上弦の月で幕を開け、「収穫月」の満月を目前にした月と土星の共演で締めくくられる。だが、月を眺めるだけで1週間を送るのはもったいない。今こそ「秋のひとつ星」の異名をとる1等星フォーマルハウトを観望する好機だ。秋の夜空でひときわ明るいこの星を見つけるには、土星を手掛かりにするとよい。なお土星は夜明け前のひととき、天球上で海王星、冥王星、木星、金星と一列に並ぶ。まもなく見納めの5惑星のパレードも楽しんでほしい。
今週はオーロラの出現にも備えておきたい。秋分の日の後の数週間は、地球の磁気活動が活発になるため、大規模なオーロラが発生しやすくなるからだ。高緯度地域では見ることができるかもしれない。2025年9月30日からの1週間の夜空の見どころをまとめた。
9月30日(火):上弦の月
今宵は上弦の月。地球から見上げた月の向かって右側半分が光ってみえる。この日以降、月は夜ごと明るさを増し、空を照らす時間も延びて、週末には満月を迎える。
10月4日(土):「秋のひとつ星」が輝く
日没後の暗くなった南の空で、月齢12日のふっくらとした月が「秋のひとつ星」フォーマルハウトのほぼ真上に輝く。月の左手側、月とフォーマルハウトの距離とほぼ等間隔の位置には、土星が見える。フォーマルハウトは、みなみのうお座で最も明るい星。北半球の中緯度地域では秋にしか見られない星で、南の低空にある。
10月5日(日):カペラとアルクトゥルス、季節の主役交代
夜空で起こっている主役の交代を見届けよう。日没後の西の地平線にうしかい座のアルクトゥルスが沈むのとちょうど入れ替わるようにして、北北東の地平線からぎょしゃ座のカペラが姿を現す。2つの星は共に1等星で、明るさはほぼ同じだ。カペラは冬の訪れを告げ、アルクトゥルスは夏に別れを告げる星である。
10月6日(月):「中秋の名月」と土星が共演
ほぼ満月に近い「中秋の名月」が、沈む太陽と入れ替わりに土星と並んで昇ってくる。今、土星の環は傾きが小さくほぼ真横を向いているが、小型望遠鏡を使えば観察できるだろう。土星のすぐ左側には海王星があるが、双眼鏡や望遠鏡がないと見えない。翌7日の満月は、米先住民の農事暦で「ハーベストムーン(収穫月)」の呼び名を持つ。


