中国もまさにそんな状態にある。アジア最大の経済大国は今年、従来のような財政・金融刺激策を打ってもなかなか効果が表れず、5%の成長を維持するのが難しくなっている。
日本の場合、仮にGDPが2%や3%成長したとしても、それには“注釈”が必要になるだろう。なぜなら、その成長は自律的なものでもなければ、努力して得たものでもないだろうから。それは経済版「血液ドーピング」の産物なのだ。要するに、ある主要国の経済が成長しているときには、成長のペースと同じくらい、成長の「仕方」が重要だということだ。
日銀はゼロ金利政策の導入から2年後、量的緩和も世界に先駆けて開始した。量的緩和はその後、とくに2008年のリーマン・ブラザーズ危機後に、米国や英国、ユーロ圏といったほかの主要経済国・地域もしばらく実施したが、いずれも出口を見つけている。
しかし、日本は量的緩和の泥沼にはまり込み、25年間も抜け出せずにいる。その一因が、先に述べた338兆ドルという世界の債務に含まれる日本の債務だ。日銀が国債市場から手を引こうとするたびに、大勢の債券トレーダーが押し返す。
2018年までに、日銀のバランスシートは日本のGDP(当時約550兆円)よりも大きくなっていた。中銀の資産規模がその国の経済規模を上回るのは、上位10位以内の経済国・地域で初めてのことだった。日銀の植田和男総裁が金融引き締めサイクルを棚上げした理由もそこから説明できる。
結局、「日本株式会社」が許容できる短期金利の上限は0.5%だったということなのだろう。日銀は2007年にも金利をこの水準まで引き上げていたが、その後再びゼロに戻す結果になっている。
植田も同じ運命をたどるのだろうか。それは時間がたたなければわからない。とはいえ、日本や世界のあちらこちらで積み上がる巨額の債務が、各国・地域の中銀による利上げの余地をだんだん狭めているのは間違いない。


