北米

2025.09.30 10:00

米国経済への悲観が拡大、雇用市場とインフレへの懸念が深まる

Brandon Bell/Getty Images

Brandon Bell/Getty Images

米国人の経済に対する懸念は今月さらに悪化した。消費者は物価上昇と労働市場の弱体化について一段と強い不安を示したことが、ミシガン大学が米国時間9月26日に発表した調査で明らかになった。

ミシガン大学の消費者信頼感指数は、8月の58.2から9月には55.1へと低下し、歴史的な基準値である100を大きく下回った。これは5月以来の低水準であり、FactSetがまとめた市場予測である55.9も下回った。

米国の消費者は、今後1年間のインフレ率が8月の予測値4.8%からわずかに低下して4.7%になると予想している。一方で、今後5年から10年にかけての物価上昇は3.7%になると見込まれており、これは前月比で0.4ポイントの上昇であった。

調査ディレクターのジョアン・スーは声明で、消費者は「高止まりする物価に対する不満を引き続き表明している」と述べ、回答者の44%が高い物価を「個人の家計を蝕む要因」として「自発的に」挙げたとした。この数値は過去1年間で最も高い。スーはさらに、米国人は所得や家計の見通しについて一段と懸念を強めており、消費者は「高インフレの可能性と労働市場の弱体化リスクの両方から圧力を感じている」と述べた。

消費者の経済見通しが悪化している一方で、インフレ率が依然としてFRBの目標である2%を上回っているにもかかわらず、消費支出はここ数カ月で加速した。連邦政府が26日に発表したデータによれば、消費支出は7月に前月比0.5%増加し、過去4カ月における最高水準に達した後、8月には0.4%増に鈍化した。

FRBのジェローム・パウエル議長は先日、「短期的なインフレリスクは和らいでいる」と示唆したが、労働市場の低迷に対する懸念は強まっている。8月の失業率は4.3%に上昇し、米国の雇用増加数は予想を大きく下回った。FactSetによれば、市場は9月の失業率も同水準にとどまると予想している。

一方、リッチモンド連邦準備銀行のトム・バーキン総裁は26日に、消費者は「失業率が依然として低く、名目賃金が引き続き上昇しており、資産評価額が過去最高水準付近にある」ことから、今後も消費を続けるだろうと述べた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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