経営・戦略

2025.09.30 14:00

なぜ多くの経営者が「時代遅れ」になりつつあるのか?AI時代に生き残る企業の条件

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コスト削減から、顧客価値創造への転換

現代の世界は、馬車会社が消えていった20世紀初頭と同様の、根本的変化を遂げつつある。企業の主要なダイナミクスは、「コスト削減による効率改善」から、「さらなる価値の創造による需要拡大」へとシフトしている。

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価値創造型企業は、2つの要素が組み合わさって生まれた。一つは、デジタル技術とAIを活用した起業家が、従来型経営の企業に比べて指数関数的に多くの価値を提供し始めたこと。もう一つは、デジタル技術によって、顧客が企業に対して、より多くの価値を求める力を得たことだ。

重要な洞察として、価値創造型企業は、顧客を満足させているだけでなく、従来の利益追求型企業と比べて、はるかに多くの収益を上げている。

その結果、急成長する企業の主要目標は、「コスト削減と利益追求」から、「顧客価値の創造」へと移り変わった。価値創造がもたらす潜在的利益は、効率化がもたらす潜在的利益とは比べ物にならないほど大きい。したがって、現代の急成長企業は、顧客価値の創造を主要目標に掲げるようになっている。

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一方で、いまだに効率改善とコスト削減を主眼とする利益追求型の企業は、平均以下の価値しか生み出せず、生き残りに苦戦している。ダウ工業株30種平均に名を連ねる著名な優良企業のうち3分の2は現在、平均を下回るパフォーマンスしか上げていない。

AIが格差をさらに深刻化させる

ある意味で、AIの爆発的普及は、経営者にとって大きなチャンスだ。すでに顧客価値のさらなる創造に注力している企業は、AIを活用して顧客利益を拡大し、自社にさらなる富をもたらす可能性が高い。

これに対して、いまだに従来型の手法を採用する経営者は、コスト削減を加速化する手段としてAIを利用する可能性が高い。こうしたアプローチは、従来型の経営者と、彼らが経営する企業の陳腐化をいっそう加速させるだろう。

2種類の経営者がもたらす結果の違いは、脳の神経回路の違いとはほぼ無関係だ。ここでの問題は、高度な論理でも、ましてや神経科学でもない。

伝統的な経営者は、単純に解決すべき問題を間違えているのだ。台頭する神経経済学者たちが、自分たちの研究の焦点を、今日の主要な課題、すなわち企業が掲げるべき目標に当てれば、その研究成果は単なる「興味深い」ものから、大いに「役立つ」ものへと進化するだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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