Netflix日本上陸10年:アニメが築いた世界戦略の最前線

Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント 坂本和隆(左)、Netflix コンテンツ部門 ディレクター 山野裕史(右)

Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント 坂本和隆(左)、Netflix コンテンツ部門 ディレクター 山野裕史(右)

Netflixは2025年9月に日本でサービスを開始してから10年の節目を迎えた。7月に米ロサンゼルスで開催されたアニメエキスポでは、同社が2019年から2004年の5年間のデータを比較。「Netflixの会員の50%以上(約3億人)がアニメ作品を視聴し、Netflixにおけるアニメの総視聴時間は5年間で3倍に増加」したことを発表し、注目を集めた。2024年は「週間グローバルTOP10」(非英語作品)に33のアニメ作品が計70回登場。作品数にして2倍以上、登場回数は4倍に増加し、Netflixが世界に配信するアニメの各地域での関心の高まりを強く印象付けた。

そして先月にはメディア向けにアニメラウンドテーブルが開催され、Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント 坂本和隆と、Netflix コンテンツ部門 ディレクター 山野裕史が出席。同社の注力する「日本発アニメ」の最新事情とこの10年の歩みを振り返った。

坂本和隆
Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント坂本和隆

坂本は「2020年以降のパンデミックを経て、日本や韓国のコンテンツの認知が広がり大きなヒットがアジアから生まれるようになった。それまでアニメはニッチなものとされてきたが、今や堂々たるメインストリームになっている」と話す。今やアニメはグローバル戦略の中核。韓国や東南アジアだけでなく、特にアメリカ、ブラジル、メキシコ、フランス、ドイツ、イタリアでも人気が拡大し、定着しているという。

それを示すように、2025年上半期のエンゲージメントレポートでは、アニメ視聴者数が前年比で20%増加。特に『SAKAMOTO DAYS』シーズン1は2400万ビューで世界33位を記録し、同レポートの発行開始以来、日本発アニメとして半期ごとの視聴数で最も見られた作品となった。『NARUTO』シリーズや『ONE PIECE』シリーズのほか、世界中に熱心なファンを持つ「スタジオジブリ作品」(日本・アメリカ除く)も、新作ではないものの、普遍的な人気をもつエバーグリーン作品として累計で4000万ビューを超えた。オリジナル作品だけでなく、よりライト層に向けた非独占作品やエバーグリーン作品の価値も高まっている。

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文=今 祥枝

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