Netflix日本上陸10年:アニメが築いた世界戦略の最前線

Netflix コンテンツ部門 バイス・プレジデント 坂本和隆(左)、Netflix コンテンツ部門 ディレクター 山野裕史(右)

「最初は日本のアニメと親和性が高いアジア地域に配信するケースが多く、その経験から大きな学びを得ました。ローカライズには最大4カ月ほどかかることもあるのですが、リアルタイムで楽しみたいというコアなファンの声も多い。そのための制作運用体制を整え、なるべくタイムレスに届ける仕組みをつくり、吹き替えにも対応していきました。パートナーさんとも相談しながら積み重ねてきたことが、現在の活況に結びついていると思います」(山野)

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Netflixという世界に拓くサービスにより日本のアニメがグローバルに広がり、同社は今や「日本のIPの窓口」として重要な役割を果たす存在となっている。アニメ作品の調達強化で生まれるさらなる強みと課題はどこにあるのか。

「制作会社やスタジオの皆さんにとってのメリットは、これまで製作委員会という仕組みの中でマルチ展開していたものが、Netflixなら一発で世界展開できる点。例えばグッズなどの商品化を含め、アニメの世界観をプラスアルファでより楽しんでもらうタッチポイントを増やしていくことができるのは、我々の強みの一つです。それに関連する自社の部署もここ5年ぐらいで拡大し社内体制も強化されたので、企画次第ではありますが、制作会社さんやスタジオさんと直接契約を結んでいくケースは今後も増えていくと思います。

一方で、権利関係が国内外で違っている場合や、国内でも配信権と他の権利が分散されてしまっている場合があり、製作委員会というシステムを前提とすると全体を見通すのがなかなか難しい場合もある。年間300作品が世の中に出るとしたら、そのすべてが違ったつくり方をされているのがアニメ業界なので、チャレンジではあると思っています」(坂本)

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10周年を迎え、ますます日本発アニメ作品への可能性に期待が高まる。

文=今 祥枝

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