機雷はたいへん過小評価されている兵器だ。航空機やミサイルに比べると地味なものの、有効性はきわめて高い。第二次世界大戦中、米軍の機雷は太平洋方面で敵の艦船を1000隻超沈め、敷設任務で失われた味方の艦艇は皆無だった。機雷対策は海軍に相当な労力をかけさせるので、機雷はたとえ実害を与えなくても、存在するだけで作戦を妨げたり遅らせたりすることになる。とはいえ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が懸念するのは、まさに静止目標への攻撃のほうだろう。
橋など水上構造物の破壊
ロシアとクリミアを結ぶケルチ橋は戦略的にも象徴的にも重要な目標であり、これまでに繰り返しウクライナの攻撃を受けている。2022年10月、橋を走行していたトラックに積まれていた爆弾が爆発し、3スパンが損傷した。修復は2023年5月に完了したが、3カ月後の2023年8月、850kgの爆薬を搭載していたとされる無人水上艇が橋脚のひとつに体当りした。ただ、倒壊させることはできなかった。今年6月には水中爆発が発生し、1100kgの爆薬が使用されたと伝えられるが、やはり橋脚を崩すには至らなかった。
СБУ провела нову унікальну спецоперацію і втретє вразила Кримський міст — цього разу під водою!
— СБ України (@ServiceSsu) June 3, 2025
Операція тривала декілька місяців. Агенти СБУ замінували опори цього незаконного об’єкта.
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そのさらに5倍近くの爆薬を搭載できるTK-1000は、ウクライナが必要とする“ブリッジドロッパー(橋梁破壊兵器)”になるかもしれない。ロシア側も水上と水中の両方で多種多様な防御策を講じており、攻撃の探知・阻止を図っているが、これまでに防御が突破されている以上、新たな攻撃が成功する可能性はある。
また、黒海の橋だけでなくプラットフォームも攻撃目標になり得る。こうしたプラットフォームはもともと石油・天然ガスのために建設されたものだが、現在はレーダー施設や防空拠点として利用されている。ロシアの艦艇はおおむね港湾内に閉じこもっており、敵の無人艇を寄せつけないようにブーム(防材)などの防護物の後方に隠れている。十分な威力の爆薬を密かに仕掛ければ、水上もしくは水中の攻撃経路を切り開くことができるだろう。こうした無人艇は、FPVドローンなど無人機の運搬手段としても利用できるかもしれない。
無人航空機と同様に、無人潜水艇もこれまで有人システムによって隅に追いやられがちだった。だが、そうした状況は近く変わるかもしれない。米国以外にも、英国やオーストラリア、中国、フランス、イスラエルなど多くの国が無人潜水艇をそれぞれのペースで開発している。ただ、それらは概して高度で、精巧で、高価なシステムとなっている。それに対して、ウクライナは無人システムを低コストの消耗品と見なしており、新しいタイプの水中戦でも世界をリードしていく可能性がある。


