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2025.10.04 12:00

熟成がピノ・ノワールに及ぼす影響と飲み頃の見極め

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ピノ・ノワールは「ハートブレイク・グレープ」(造り手たちを悩ませるブドウ)として知られる。畑では気難しく、栽培が難しく、ワイナリーでも扱いが厄介である。しかし、すべてが上手くかみ合ったときはどうか。良質なピノは熟成によって魔法がかかったかのような姿に変わり、重層的で複雑になり、店頭で買った明るくフルーティーな1本とはまったくの別物になる。

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とはいえ、すべてのピノが何年も寝かせる前提で造られているわけではない。すぐに飲むのが最適なものもあれば、10年(あるいはそれ以上)の熟成に耐えるものもある。以下では、その見分け方と、手持ちのボトルを最大限に生かす方法を示そう。

熟成でピノ・ノワールに何が起きるか

若いピノの特徴は、チェリー、ラズベリー、ストロベリーといったジューシーな赤い果実、生き生きとした酸、そして絹のようなテクスチャーである。時間の経過とともにこれらの風味は移ろい、新たな要素が前面に出てくる。

果実のトーンの変化:明るいベリーが、ドライチェリーやイチジク、あるいはジャムやコンポートのようなニュアンスへと和らぐ

土っぽい香りの出現:マッシュルームやトリュフ、スパイス、いわゆる「落ち葉」のような雰囲気が現れる

口当たりの円熟:タンニンがこなれて、ワイン全体に一体感が出る

酸が鮮度を保つ:もともとの酸がフレッシュさを支える。これこそが、ピノを優雅に熟成させる鍵である

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もともと骨格がしっかりしていれば、熟成の成果は、より多層的で思索的な一口となって返ってくる。

すべてのピノ・ノワールが熟成向きとは限らない

実のところ、市場に出回るピノの大半は若いうちに楽しむ前提で造られている。とりわけカリフォルニア、オレゴン、ニュージーランドでは、造り手がジューシーな果実味とやわらかな質感を志向することが多く、そのようなボトルは数年以内が最も映える。

熟成に向くピノの特徴

産地:ブルゴーニュ、オレゴンのウィラメット・ヴァレー、ソノマ沿岸といった冷涼産地は、構造がしっかりしたワインを生みやすい

生産者:熟成に耐えるピノで実績のある真摯な造り手が、最良の選択肢だ

現在の味わい:酸がしっかりし、ほどよいタンニンのグリップがあり、果実味に凝縮感があれば、将来性がある可能性が高い

平日の晩酌用の20ドル(約3000円)程度のピノなら、難しく考えず新鮮な果実味のうちに飲むのがよい。一方、ハイエンドのブルゴーニュやニューワールド系のトップボトルなら、数年の忍耐に応えてくれることがある。

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翻訳=酒匂寛

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