どれくらい待つべきか
スタイルによって異なるが、目安は次のとおりだ。
・日常消費のピノ($15–$30)(日本では2000円台後半から5000円程度):2~3年以内が最適
・プレミアムなニューワールドのピノ(カリフォルニア、オレゴン、ニュージーランド):5~7年、場合によってはそれ以上
・トップ・ブルゴーニュ(プルミエ・クリュ、グラン・クリュ):適切に保管すれば10~20年
忘れてはならないのは、ピノは力強さではなくエレガンスのワインだという点である。待ちすぎると果実味が萎え、飲んで「興味深い」だけで「楽しい」には至らないことがある。
保管方法
ピノを熟成させるなら、保管がすべてである。条件が悪ければ、最良のボトルでも台無しになる。
・温度:13度前後を、できるだけ一定に保つ
・湿度:コルクが乾かない程度の適度な湿度
・光:遮光する。紫外線はワインの敵である
・置き方:横置きにしてコルクを湿らせておく
ワイン専用冷蔵庫が最も安全だが、短期であれば冷暗所の地下やクローゼットでも代用できる。
飲み頃の見極め方
ここからは探偵役の出番だ。
・ヴィンテージを確認:年によって長持ちする場合がある
・複数本買う:1本を早めに開け、残りの熟成の進み方を見極める
・兆候を観察:コルクがせり上がっている、液面が低いといった場合は、すでにピークを過ぎている恐れがある
抜栓したら少し空気に触れさせる。優しくデカンタージュするか、グラスで1時間ほど置くだけでも、熟成香の繊細さが引き立つ。
まとめ
ピノ・ノワールの熟成は、優れたワインを忘れがたい存在へと変えるが、タイミングが重要である。適切に保存し、手元のボトルの性格を見極め、果実味がまだ歌っているうちに抜栓することを恐れないことだ。
なぜならピノにおける最大の「ハートブレイク」は造る難しさではなく、待ちすぎて最良の瞬間を逃すことなのだ。


