北米

2025.09.29 15:30

米国の実質GDP改定データ、市場予想を上回る年3.8%増に

Scott Olson/Getty Images

Scott Olson/Getty Images

米商務省が25日に公表した改訂データによれば、米国経済は、第2四半期に消費支出が増加したことにより、当初報告されていたよりもはるかに高い成長率を記録した。これは経済学者たちを驚かせる結果となった。

商務省経済分析局(BEA)の報告によれば、第2四半期の実質GDPは年率3.8%増となり、従来の改訂値である3.3%や速報値の3%から上方修正された。FactSetがまとめた市場予想は3.3%とされていたため、今回の結果はそれを大きく上回った。

今回の改訂は主に消費支出の「加速」を反映したものである。実質最終国内需要(消費支出と製造設備や施設といった民間固定資本形成を測定)は、第2四半期に2.9%増加し、従来の改訂見通しである1.9%増を上回ったとBEAは説明した。

第2四半期までの改訂経済成長データは、第1四半期の0.5%減という落ち込みから大幅に回復したことを示している。第1四半期は2022年以来最も弱い数字であり、BEAは企業がドナルド・トランプ大統領の関税への対応に苦戦したと報告していた。

労働省が25日に発表したところによると、新規失業保険申請件数は前週の23万2000件から21万8000件に減少した。これはダウ・ジョーンズがまとめた市場予想である23万5000件を大幅に下回った。

eToroの米国投資アナリスト、ブレット・ケンウェルはCNNに対し、実質GDP成長率の約1%の上振れは「確かに注目に値し、通常の範囲を外れている」と述べた。今年は経済データ全般で「高い変動性と入り混じったシグナルに特徴づけられている」とも指摘した。コメリカのチーフエコノミストであるビル・アダムスも25日のメモで、直近のGDPと失業保険申請データは、8月の「精彩を欠いた」雇用統計と比べて「はるかに明るい」と述べている。その8月の統計では、米国の失業率は上昇し、雇用者数の増加は予想を大きく下回っていた。

ボルビン・ウェルスマネジメント・グループのジーナ・ボルビン社長も「経済はまったく問題ない」と書き、失業保険申請件数と小売売上高が予想を上回ったことを挙げた。その上で「『FRBと争うな』という古い格言は、『米国の消費者と争うな』に改めるべきだ」と付け加えた。

アトランタ連邦準備銀行は、第3四半期の実質GDPが年率3.3%で成長すると予測している。同予測は、住宅投資の伸びが鈍化したと国勢調査局のデータで示されたことを受け、直近の3.4%から下方修正された。

BEAは26日に個人消費支出(PCE)物価指数のデータを公表する予定だ(日本版注:日本語記事公開時にはすでに公表済み)。FactSetによると、市場は8月の年間インフレ率が3%に達すると予想しており、これは7月から0.1%の上昇となる見通しである。また、総合PCEインフレ率は7月の2.6%から2.8%に上昇すると予想されている。FRBはインフレ率の測定にあたりPCEのデータを好んで用いる。なぜなら、この指標は米国人の消費動向をより適切に反映していると考えられているからである。

ミシガン大学の報告によれば、米国の消費者はここ数週間で米国経済に対して一段と悲観的になり、9月の消費者信頼感指数は再び低下した。インフレはこの数カ月間上昇を続けており、企業がトランプ関税を受けて価格を引き上げているように見える。一方、米国の雇用市場は急速に悪化し、8月の失業率は予想以上に上昇した。労働統計局もまた、労働市場に関する改訂データを発表し、3月までの12カ月間で米国が当初報告よりも約100万人少ない雇用しか創出していなかったことを示した。

FRB議長ジェローム・パウエルは24日、FRBが懸念の対象をインフレ上昇から労働市場の弱体化に移したと述べた。これが直近の利下げ決定を促したという。FRB理事のミシェル・ボウマンは、労働市場が「不安定な局面」に入り、「突然かつ重大な悪化」に直面することを「懸念している」と述べた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事