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2025.09.30 12:00

売上ゼロで時価総額3.1兆円、AIバブルの次は「原子力」か? Oklo熱狂の行方

Oklo共同創業者のジェイコブ・ドウィットCEO(Photo by Tasos Katopodis/Getty Images for Reindustrialize Conference)

Oklo共同創業者のジェイコブ・ドウィットCEO(Photo by Tasos Katopodis/Getty Images for Reindustrialize Conference)

人工知能(AI)データセンターの膨大な電力消費が、米国のエネルギー安全保障を揺るがす課題として浮上する中、解決策として「次世代原子力」に白羽の矢が立った。その潮流を象徴するのが、売上高ゼロにもかかわらず時価総額210億ドル(約3.1兆円)を記録した創業12年の核エネルギー企業「Oklo」(オクロ)である。

同社の躍進は、単なる技術への期待だけではない。OpenAIのサム・アルトマンCEOによるAIの未来を見据えた投資、そしてトランプ大統領の第1期政権時代に築かれ、現在も続く政府との緊密な関係が推進力となっている。この現象は、新たな億万長者を生んだアメリカンドリームであると同時に、実態を伴わない期待が先行する投資市場の危うさをも映し出している。

AIブームと米英両政府による51.8兆円規模投資の影響を受け、Oklo株も急騰

Okloの株価は、人工知能(AI)ブームによるエネルギー需要の高まりを背景に、ここ1週間で47%急騰し、過去6カ月間で400%以上も上昇している。直近の急騰は、米英の両政府が9月18日、AIや量子コンピューティング、原子力エネルギー分野に計3500億ドル(約51.8兆円。1ドル=148円換算)の双方向の投資を見込む協定を結んだことを受けてのものだ。ただし、この原子力関連の協定がOkloに直接的な利益をもたらすかどうかはまだ分からない。

カリフォルニア州サンタクララを拠点とするOkloはまた、米エネルギー省が管理するアイダホ国立研究所で、同社初の原子力発電所の建設に着工したと22日に発表した。同社の時価総額は、その日の市場の取引終了時点で210億ドル(約3.1兆円)に達した。

資産約2516億円の夫婦が誕生、MIT出身の新興ビリオネアの横顔

Oklo株の急騰により、共同創業者のジェイコブ・ドウィットCEOとキャロライン・コクラン最高執行責任者(COO)の夫妻はビリオネアの仲間入りを果たした。2人が会社を立ち上げたのは2013年で、当時夫のドウィットはマサチューセッツ工科大学(MIT)で原子力工学の博士課程に在籍中だった。一方、妻のコクランは2010年にMITで原子力工学の修士号を取得し、マーケティングおよびエンジニアリングのコンサルタント業務を経てドウィットとともに同社を共同創業した。

Okloの社名は、中央アフリカのガボン共和国にあるオクロのウラン鉱床に由来する。この鉱床では、約20億年前に自然の核分裂連鎖反応によって発生した「天然の原子炉」の存在が確認されている。

フォーブスは、ドウィット夫妻の資産をそれぞれ17億ドル(約2516億円)と推定している。この資産は、Oklo株の合計16%の持ち分と、約3000万ドル(約44億円)の株式売却益を合わせたものだ。現在42歳のコクランは、米国に36人しかいない自力で資産を築いた女性ビリオネアの1人であり、その中で50歳未満はわずか6人しかいない。

Okloは収益ゼロのまま、約37億円と約81億円の損失を計上

一方、Okloは株価を急騰させて、初の原子力発電所の建設に着手したにもかかわらず、いまだに収益を生み出しておらず赤字を続けている。同社は今年の第2四半期に約2500万ドル(約37億円)、6月までの1年間で約5500万ドル(約81億円)の損失を計上した。

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翻訳=上田裕資

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