ビル・ゲイツ支援のTerraPower、アマゾン出資のX-energyが競合
Okloが挑む実験的な分野には、すでに数多くの競合がひしめいている。そこには、ビル・ゲイツが支援するTerraPower(テラパワー)やアマゾンが出資するX-energy(エックスエナジー)、2024年にグーグルと契約を結んだKairos Power(カイロスパワー)などが含まれている。また、ユタ州で新型原子炉の建設に着工したスタートアップのAalo Atomics(アロアトミクス)は、自社のナトリウム冷却炉が来年完成予定だと述べている。
Okloは、OpenAIとの関係を築いているものの、依然としてハイテク大手からの支援を受けていない。そのため同社は、ライバル企業を後押しする大手からの契約を巡る競争に直面している。なぜなら、中小企業には実験的な原子力のプロジェクトに直接投資するほどの余力がないからだ。
クラウドコンピューティング企業CoreWeave(コアウィーブ)の最高戦略責任者ブライアン・ベントゥーロはこう語る。「もし当社が原子力発電によるエネルギーを購入するならば、送電網の電力ミックスに頼ることになる。我々には、何度も失敗を繰り返せるほどの資金がないからだ」
さらに、Okloにとって最も近しいテック界の支援者のアルトマンですら、リスク分散を図っているようだ。その代表例が核融合スタートアップのHelion(ヘリオン)で、彼は2021年に同社に自身の当時の流動資産の大半にあたる3億7500万ドル(約555億円)を投じていた。Helionは、2024年に試作炉「Polaris」を完成させており、2028年にもマイクロソフトに先行販売した電力を供給し始める見通しだ。OpenAIはHelionから「膨大な」電力を購入するための交渉を進めていたと報じられた。
Okloだけではない、AIブームが生んだ「収益ゼロ」巨大企業
ビリオネアが支援するSPACとの合併を通じて、収益がゼロであるにもかかわらず時価総額が10億ドル(約1480億円)を突破した企業は、Okloのみではない。自動運転テクノロジー企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、2021年にSPACとの取引を通じて上場した。このSPACはビリオネアのリード・ホフマンとマーク・ピンカスが支援するもので、取引規模は130億ドル(約1.9兆円)にのぼる。
同様の事例は、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発するArcher Aviation(アーク・アビエーション)にも見られる。同社は2021年にSPACを通じて上場し、時価総額は約60億ドル(約8880億円)に達している。この企業は、Figure AI(フィギュアAI)を手がけたビリオネアのブレット・アドコックが共同創業し、マーク・ロアからシード資金を調達したことで知られる。なお、ロアはすでに同社株を売却した。
収益ゼロでも投資家は熱狂、アナリスト評価と潜むリスク
こうした市場の動向の中でも、特にOkloは売上がないにもかかわらず、多くの投資家から熱烈な支持を集めている。同社株をカバーするウォール街のアナリストの3分の2以上が「買い」と評価し、個人投資家の9割がロングポジションを取っている。
Okloをめぐる投資家の熱狂やIPO市場の回復は、他の原子力スタートアップの上場への道を開く可能性がある。しかし、競争が激化するこの分野の投資には、収益が見込めるまでにはまだ数年がかかると見られることから、慎重さが求められる。


