トランプの大統領令とエネルギー省の後押しで原子力開発が加速
同社の支えとなっているのは、エネルギー長官クリス・ライトとの長年にわたる関係だ。ライトは今年2月に政府のポストに就任するまでOkloの取締役を務めていた。そのことが、トランプ大統領から後押しにつながったと見られている。ドウィットは5月、ホワイトハウスの大統領執務室で「市場はこれを必要としており、望んでもいる。原子力はエネルギー支配の具現化だ」とトランプに語った。トランプはその後、原子力開発を迅速化する大統領令に署名した。
エネルギー省はその後、3種類の新しい小型原子炉を2026年7月4日までに初臨界に到達させる強気のスケジュールを打ち出した(ただし、Okloと政府との関係は常に順風満帆だったわけではない。2022年に米原子力規制委員会は、同社が炉に関する情報を十分に開示していなかったことなどを理由に原子炉の申請を却下していた)。
そして今、エネルギー省が代替エネルギーの選択肢の拡大に向けて、この分野のスタートアップを支援しようとする中で、Okloは必要な連邦政府の後ろ盾を得ている。同社は現在、5月にトランプ大統領が署名した大統領令をきっかけに生まれた同省のパイロットプログラムに参加している。なお、Okloはフォーブスからのコメント要請に応じなかった。
サム・アルトマンも投資、驚異のリターンとOpenAI連携の思惑
Okloはまた、昨年同社を上場に導いた特別買収目的会社(SPAC)の「AltC」を共同設立したサム・アルトマンとも緊密な関係を築いている。アルトマンは2015年から今年4月までOkloの取締役会会長を務めていたが、その辞任は、OkloとOpenAIの取引を進めやすくするためだった可能性がある。「Okloはクリーンエネルギーを大規模に導入するための戦略的パートナーシップを模索しており、とりわけAIの展開を可能にすることを狙っている」とアルトマンは声明で述べていた。
アルトマンはまたOkloの大株主でもあり、推定8億8000万ドル(約1302億円)相当の持ち分を保有している。その大半は、2021年にAltCの創業者株を1株0.002ドル(約0.3円)で購入したことに由来する。結果として投資収益は7万倍以上に膨れ上がった。これはアルトマンにとって最も成功した投資の1つといえるだろう。なお、AltCにはOpenAIの最高執行責任者(COO)のブラッド・ライトキャップも関与していたが、彼が現在もOkloに関与しているかどうかは不明だ。
高速炉や小型原子炉を開発し、1480億円の追加資金を調達へ
Okloは長期的なゴールとして、高速中性子を用いて核分裂反応を引き起こす「高速炉型原子力発電所」を用いた発電を行おうとしている。この次世代型原子炉は、熱中性子や多くの場合水を用いる従来型とは異なるものだ。同社は、そのための設備を自ら設計し、所有、建設、運営する計画である。
Okloはまた、エネルギー省が資本効率に優れフレキシブルな導入が可能だと評価している小型モジュール炉(SMR)にも注力しているが、SMRを巡っては、さらなる研究が必要だと主張する批判者たちから、核廃棄物の増加を招く恐れがあるとの指摘もあがっている。
Okloは、仮に事業が商業ベースで成り立つようになれば、電力を大手電力会社に売るのではなく、電力購入契約(PPA)を通じて消費者に直接提供しようとしている。この販売モデルは、従来の一般的なモデルとは異なるものだ。
ただし、同社は発電所の稼働目標を2030年までに置いているため、損失は当面続く見通しだ。さらにOkloは規制当局への提出書類で「いかなる顧客とも発電所の運営や電力・熱供給に関する拘束力のある契約をまだ結んでいない」と記している。こうした取り組みの実現に向け、Okloは現在、最大10億ドル(約1480億円)の追加資金の調達を進めている。


