サイエンス

2025.09.30 18:30

尾をクモそっくりに進化させ、鳥をおびき寄せる毒蛇「クモオクサリヘビ」

Shutterstock.com

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イラン西部からイラク東部にかけての岩がちな低木地に、究極の擬態を駆使して獲物を仕留める、狡猾な捕食者が潜んでいる。クモオクサリヘビ(学名:Pseudocerastes urarachnoides)は、尾をクモそっくりに進化させた毒蛇だ。このヘビは、クモに擬態した尾を使って獲物をおびき寄せる──主な獲物は鳥だ。

クモオクサリヘビは狩りの際、岩の隙間に隠れ、尾だけを地面に出す。尾は、先端部が丸く膨らみ、周辺に長く伸びたうろこを備えている。この部分を、岩の表面を「這う」ように巧みに動かすことで、完璧なクモの擬態が完成する。

本物そっくりのディスプレイに騙され、楽な獲物を見つけたと思い込んだ鳥たちが舞い降りる――自分がクサリヘビの次の犠牲者になるとも知らずに。

クモオクサリヘビが最初に発見されたのはイラン西部のザグロス山脈だが、のちに、国境を挟んだイラクのよく似た環境でも生息が確認された。このヘビを最初に発見した研究者たちは、ツノメクサリヘビ(学名:Pseudocerastes persicus)と誤認し、尾の形態は、形成異常か腫瘍によるものと考えた。1960年代後半に採集され、誤同定されたこのヘビの標本は、いまもイリノイ州シカゴのフィールド自然史博物館に収蔵されている。

クモオクサリヘビが正式に記載され、Pseudocerastes urarachnoidesという学名がついたのは、ようやく2006年になってのことだ。それ以来、観察された個体数は30匹に満たない。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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