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2025.09.30 18:00

心理学者が指摘、恋愛関係を気づかないうちに「台無し」にする考え方

MicroStockHub / Getty Images

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一部の人にとって、愛情ある関係は見返りあるものでなければならない。つまり、自分が与えたものと同じだけを自分も相手から受け取るというものだ。このような考え方は、それ自体は必ずしも問題ではない。歴史的に男女の関係がいかにアンバランスで平等でなかったかを考えれば尚更だ。だが双方にとって関係をより平等なものにしようとするあまり、気づかないうちにお互いの言動を点数に変え始めてしまうカップルもいるのではないだろうか。

専門誌『Personality and Social Psychology Bulletin(パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー・ブレティン)』に掲載された新しい研究によると、一部のカップルはそうなってしまう可能性があるという。研究の主執筆者であるヘヨン・ギデオン・パクは心理学専門サイトPsyPost(サイポスト)とのインタビューで次のように説明している。「現代の恋愛はますます取引的なものになってきているという、社会的な懸念が高まっている。人は愛を感情的なつながりとしてではなく、ギブ・アンド・テイクを展開するものというアプローチをしている」。

この懸念を踏まえ、パクらの研究チームはこのような「自分がしたことと同じだけを相手にも求める」的な考え方が恋愛関係の行方にどう影響するかを調査することにした。調査結果の詳細は以下の通りだ。

共同体の関係 vs 取引する関係

大規模な縦断研究でパクらは7000組以上のカップルを13年間にわたって追跡調査した。この間、研究チームは7回調査を実施し、その都度カップルの状況を確かめた。

研究チームは調査のたびにカップルが自分たちの関係にどれだけ満足しているかに注目した。さらに重要なことに、各カップルが「取引志向」と呼ばれるものにどれだけ強く傾いているかを評価した。この傾向はつまり、何を与え、何を受け取ったかを記録し、それに従って行動するというものだ。

このフレームワークでは、人が恋愛関係にアプローチする2つの対照的な方法があることに注意することが重要だ。

・共同体の関係:カップルは互いに見返りを期待することなく与え、支援の手を差し伸べる。下心もなく、自分が相手に何を与え、相手から何を受け取ったかを記録することもない。相手を気にかけているからそうするのであって、何らかの見返りが欲しいからではない。どちらかが夕食を作る場合、先週相手が何回食事を準備したかを数えたりはしない。単に自分が貢献したいからか、相手ができないことを知っているからそうしているのであって、見返りは求めていない。

・取引する関係:このようなパートナーシップはビジネス上のやり取りに似ている。カップルは互いに誰が何をしたかに細心の注意を払い、見返りや公正さ、あるいは少なくとも評価を期待する。大小問わず、気遣いや奉仕などすべての行為が記録され、物理的または気持ち的に「貸借対照表」を作成する。

ただし、こうしたアプローチは必ずしもずっとそのままというわけではない。大半の関係では傾向は変わる。時間の経過とともに自然に刻々と変化するか、状況に応じて変わる。

前述の研究ではカップルが取引する関係に大きく傾いたとき、関係にどんな変化が起こるのかを調べた。

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翻訳=溝口慈子

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